37) 結晶弾塑性有限要素法を用いた疲労き裂形成機構に関する研究(その1)
大沢直樹、冨田康光、橋本聖史、松田勝也、山鹿伸幸(阪大)
著者らが開発した繰返し塑性変形挙動を解析できる結晶塑性有限要素法を、非Suchmid効果を考慮できるよう拡張し、面心立方単結晶の繰返し塑性変形挙動を解析した。そして、き裂発生過程の一部と考えられる塑性変形局在化と非可逆すべり発生の進行度と、すべり系硬化特性の関係を調べた。

38) 微細粒のくさび効果による疲労き裂進展抑制

アルミニウム合金A5083P-0材の切欠付平板試験片を対象として、切欠き部およびき裂進展経路に微細粒を油で溶いたペーストを塗布し、これが疲労き裂進展に及ぼす影響についてしらべた。微細粒としては、磁粉探傷用の磁粉および粒径の異なる2種類のアルミナ粒子を用いた。疲労試験結果及び試験後のCCD microscope、SEM、EPMAによる破面解析結果から、き裂先端に輸送された微細粒は、き裂の閉口を妨げるくさびとして作用し、き裂進展を抑制する効果をもつこと、またその効果はき裂進展の初期段階で顕著なことが分かった。

アルミナ粒子による疲労き裂進展抑制
39) 簡易力学モデルを用いた防撓パネルの圧壊挙動の解析
藤久保昌彦、矢尾哲也、柳原大輔(広大)、査曲?広大大学院)
著者らは先に、弾性大たわみ解析と剛塑性機構解析の解析解を組み合わせた板の圧壊挙動の簡易力学モデルを提案した。本論文では、簡易力学モデルを組み込んだ板要素と曲げ捩り座屈挙動を考慮した梁、柱要素を組み合わせて、システム解析に適用可能な防撓パネルの圧壊挙動の簡易解析法を提案した。解析結果をFEM解析結果と比較して精度の高い適用性を確認した。また梁・柱モデルの適用限界と、パネル・防撓材間の相互影響が圧壊挙動に及ぼす影響について考察した。

簡易解析法とFEMの比較
40) 腐食を考慮した溶接バネモデルに関する研究
青山和浩(東大)、宮内孝(名村造船)
船舶の事故を引き起こす要因としては腐食が原因として考えられるものが7割を超えることが明らかになっている。腐食を考慮した構造解析を行いこれらの情報を設計時点から積極的に利用することは今後ますます重要になってくるものと考えられる。我々はまず腐食を考慮した構造解析を行うための溶接バネモデルについて検討を行い、その妥当性について検証する。更に隅肉溶接部の腐食による劣化のメカニズムを提案し、溶接バネモデルを用いた劣化シミュレーションにより構造崩壊までの劣化シナリオを表現する。

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