33) 領域被害モデルによる疲労強度評価
藤本由紀夫、金元範、新宅英司、黄飛(広大)
疲労損傷位置からある距離内部に入った点の応力を、疲労被害を活性化させる駆動応力と考えると、平滑、切欠き、亀裂(長い亀裂および微小亀裂)などの幾何学的形状によらず、疲労限や亀裂伝播下限界強度を統一的に評価できるという、領域被害モデルの妥当性を実験事実と対比させて定量的に示した。また、領域被害モデルの潜在亀裂モデルに対する優位性を考察した。

楕円切欠きにおいて停留亀裂の生じる条件
34) 2軸繰り返し荷重下における角回し溶接継手の疲労挙動
高橋一比古(船研)、高田篤志(海上技術安全局)、秋山繁、牛嶋通雄、前中浩(船研)
複合荷重試験装置(写真)を用い、SM400Bの角回し溶接継手について、直交2軸引張荷重による疲労試験を行った。4体は荷重位相差πで、1体は荷重位相差ゼロで試験した。位相差πの横荷重は、ポアソン効果により止端部変動応力の下限値を低下させ、応力レンジを増大させる。止端部近傍には高い引張残留応力があって、応力変動は常に引張側となるため、結果として位相差πの横荷重は疲労被害度を増大させた。

複合荷重試験装置
35) 構造物の疲労損傷予知のための犠牲試験片の開発(第2報)
藤本由紀夫、黄飛、波田和寛、佐藤明彦、岩田光正(広大)
疲労損傷予知を目的とする犠牲試験片を、平滑試験片および角廻し継手に設置して、指数分布に近い頻度分布を有する、繰り返しブロック荷重下で疲労試験を行い、開発した犠牲試験片が変動応力振幅下においても安定した疲労特性を示すことを示した。

指数分布荷重下の犠牲試験片の疲労特性
36) 圧電素子による構造物の簡易応力履歴計測に関する研究
新宅英司、藤本由紀夫、濱田邦裕(広大)、武内哲也(広大大学院)
開発したセンサは、予め設定した応力レベルを越えると発光ダイオードが点滅し、構造物の応力状態を視覚的に確認でき、応力レベルの発生回数を記録できる。本研究ではセンサを平滑試験片に取り付けてプログラム荷重を負荷する実験を行い、センサの性能および問題点を実験的に明らかにした。

開発した簡易応力履歴センサ
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