36) 板曲げ動的問題の有限要素解析における事後誤差評価(その2)
―空間領域と時間領域の離散化誤差―
北村充(広大)、陳玉華(広大院)、信川寿(広大)
本論文は時間積分法を用いた動的問題の有限要素解析の事後誤差評価を行う。動的問題の有限要素解析は空間領域と時間領域における2種類の離散化誤差が発生する。Taylor級数展開式を基にして時間領域における速度と変位の事後誤差評価式が導かれる。連続する2つのタイムステップ間における加速度を用いて3階微分と4階微分を近似することを提案する。

Distribution of the ratio of estimated to exact time error energy norms with errors in initial acceleration and third-derivative
37) 面内圧縮荷重を受ける矩形パネルの最終強度後の挙動
矢尾哲也、藤久保昌彦、柳原大輔(広大)、査煬峰、村瀬知行(広大院)
痩せ馬モードの初期たわみを有するパネルを対象として、一方向圧縮下での崩壊挙動を調べるため、FEM弾塑性大たわみ解析を実施した。その結果、始めは座屈モードの変形が生じるが、最終強度に達した後、塑性変形がいずれかの半波部分に集中し始め、それ以外の場所では除荷が発生する。そのために平均圧縮ひずみは減少し、最終強度後の耐力が急減する。このような挙動を、簡易解析モデルを適用して再現した。

パネル各部の平均応力〜平均ひずみ関係
38) 微視的強度不均質に注目した鋼材破壊特性の高機能化へのアプローチ
―破壊制御設計へのローカルアプローチの展開(第2報)―
南二三吉、加藤孝憲、野口泰隆、寺井大造(阪大)、豊田政男(阪大)、島貫広志(新日鐵)
微視的強度不均質と鋼材の脆性破壊特性との関わりをローカルアプローチによって解析する手順を示し、破壊特性向上のための不均質形態について考察した。

二相組織鋼の硬質相(灰色部)の破壊駆動力に及ぼす不均質形態の影響
39) 海水電解による海洋生物付着防止システムの計算手法に関する研究
(その1 実証実験による検証)
宇佐美正博(三菱重工)、黄一(広大)、植田健二(長菱エ)、岩田光正(広大)
海水中の鋼構造物や船体の表面には、微生物・藻・貝などの海洋生物が付着するので、構造物では異常局部腐食の発生、船舶では航走抵抗の増大が大きな問題となる。その対策として、海水の電気分解反応を利用した無公害防汚システムを開発し、その最適設計に資する目的で導電塗膜施工面各部の電位・電流分布を推定する数値解析法を開発し、フィールド実験データとの比較によりその有効性を確認した。

小型船実験データ(各部の電位)と数値解の比較
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