28) 超大型浮体の海洋物理環境への影響に関する一検討
(第一報:東京湾内の沿岸湧昇への影響)
藤野正隆(東大)、多部田茂(横国大)、北澤大輔(東大院)、曽一非(東大院)
夏季に見られた、メガフロート周辺の海水温度および塩分濃度の急変は、南西風(約10m/s)の吹送による沿岸湧昇が原因であることを数値シミュレーション(下図)によって明らかにした。また、仮想の超大型浮体の設置が沿岸湧昇に与える影響を検討した。

(a) 吹送開始2.5日後の水温下降量

(b)水深1mでの湧昇速度
29) 密度流拡散装置の研究開発
大内一之、山磨敏夫(ナカシマプロペラ)、小林勝弥(日立金属)、中村充(福井県立大)
本装置は、成層海域の表底層水を吸引・混合し中層に吹き出すことにより、液体の密度差によって生じる水平方向の流れ(密度流)を発生させ、成層海域を静かに撹拌するための新種の流体機械として研究開発された。縮尺モデルでの実験による検討を経て、吐出量12万m3/日、駆動動力12kwの実証機を開発し、15m水深の閉鎖性内湾に敷設し実海域実験を行った結果、極めて広い範囲に流場が出来、水質の大幅な変化も観測された。本装置は今までにない超省エネ型の広域撹拌装置であり、海域の浄化、深層水の汲上げ等に応用が期待される。

30) 深海底でのCO2水和物の生成と安定性に関する研究
古林義弘(熊本工大)、秋川史朗(管清工業)、佐藤和也(クレスコ)
大気中のCO2濃度増加を押さえる技術手段として海洋投入処理する場合、投入後の物理・化学的挙動を探るため、実海域と同等の圧力と温度環境下で液体CO2と清水との界面での現象観察と、水中へのCO2移動について実験と解析を実施した。圧力は中層域の5MPaおよび深海域の30MPaを設定し、各圧力下で2液界面でのCO2水和物の自然生成と強制生成および分解の確認を行った。さらに水中でのCO2の拡散と流動の計測と解析を実施し、高圧環境下での物質移動に関する3諸元(界面物質伝達率、水中拡散係数、溶液密度変化係数)を把握した。

30MPaでの液体CO2から水中への分子拡散と流動
31) 極低温液化ガス(LNG,LH2)キャリヤーのタンクのベーパーインシュレーションシステムの解析(英文)
古林義弘(熊本工大)、Anstein Sorensen(Unitor AS)、江崎義範(Ticon Isolering AS)
LNGや液体水素のような極低温液化ガス輸送船を対象に蒸発ベーパーの低温エネルギーを有効に利用した新しい断熱システムを提案し、球形タンクでの流れと熱解析を実施した。従来の断熱構造との組み合わせで最大の熱遮断効果を得る為の最適構造を数値解析によって見出し、具体的構造を示した。解析はFDM手法との比較の結果、集中質量系で十分な精度を持つことを掴み評価法の簡略化を図った。

GN2温度および断熱厚みをパラメータとした侵入熱量
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