20) 面内弾性応答及び風の空間相関が超大型浮体―係留系の逐次崩壊に与える影響
波の穏やかな海域に設置された超大型浮体―係留系の風荷重による逐次崩壊を扱った。従来剛体として扱われてきた面内運動を弾性体として扱う場合、風の空間相関規模(乱れのスケール)を台風時を想定して大きくした場合、係留装置としてドルフィン係留を用いた場合を想定し、そのヒステリシス特性等まで詳細にモデル化した場合に関して係留系の崩壊挙動に与える影響を調べた。その結果、浮体の剛性が小さい場合、風の空間相関規模が大きい場合、線形係留モデルを用いた場合には係留系が崩壊しやすいことが分った。

係留モデルの違いによる崩壊挙動の比較
21) 超大型浮体の波浪中弾性挙動の推定法について(第3報)
村井基彦(東大)、影本浩(東大)、藤野正隆(東大)
超大型浮体式構造物(VLFS)は厚さが平面形状に比べ極端に薄く、波浪中における流力弾性挙動の推定が基礎的設計において重要な問題となる。本論文ではその推定法に関して、1.剛性による復原力を離散的小構造物の運動変位の差分によって評価する手法を提案する。2.多列に配置された脚間の流体力学的相互干渉問題を座標変換を多重に用いることで計算量を抑える手法を提案する。また、1.2.の手法を組みわせてた計算例を示すと共に、超大型であることを利用した近似計算法により数万本の脚で支持されたVLFSの波浪中弾性挙動を計算した例を示す。

上図はVLFSの差分による計算例、下図は座標変換による計算例
22) ポンツーン型超大型浮体の波浪中弾性応答特性
岩橋嘉生(住友重機械)、大松重雄(船研)、坪郷尚(大阪府大)
ポンツーン型超大型浮体の波浪荷重に対する弾性応答特性を明らかにするために広範な数値解析結果に対して弾性波動伝播の観点から光学とのアナロジを用いて検討をおこなった。その結果、浮体たわみ波の伝播速度は自由表面域における微少振幅波よりも速いため、屈折および全反射に相当する現象が存在する。また、応答の周波数特性および方向依存性もフレネルの法則とのアナロジで解釈できることが示された。

浮体たわみ波の屈折
23) B-スプライン要素法による波浪中における超大型浮体構造物の弾性応答の推定
(英文)
林欣(広大)、高木幹雄(広大)
超大型浮体構造物の弾性応答を推定するために新たなモード解析法として、B-スプラインを用いた新手法の開発を行った。本研究ではエネルギー保存定理より導出した弾性構造物の運動方程式において、構造物のたわみと流体圧力を3次B-スプライン関数を用いて離散化している。構造物の弾性固有モードのB-スプライン表現は提案した運動方程式の固有値問題によって決定した。本方法と従来の有限要素法との相違点は、得られた構造物のたわみだけでなく、歪みも連続性を損なうことなく求めることができる。今回、本方法による推定値は実験値と比較検討した結果、よく一致していることが確認された。

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