16) 自航バージの定点保持のための制御系の設計について
貴島勝郎(九大)、村田航(九大院)、古川芳孝(九大)
長大な吊り橋を直下吊り工法で建設する際に用いられる自航バージに対しては、非常に精度良く定点保持することが求められる。本研究では制御系にILQ制御理論を適用して設計し、設計パラメータである時定数を状態変数に応じて自動的に変化させることにより、試行錯誤で時定数を選定する必要がなく、制御系の設計を容易に行うことができた。また、時定数を常に一定とした場合に比べ、大きな外乱下においても精度良く定点保持を行うことができた。

17) 船舶操縦運動の学習型フィードフォワード制御方式の実用化に関する研究(II)
―実船実験による目標値追従制御系の検証―
岩本才次(九大)、山本善弘(研究当時九大院)、小川原陽一(元九大)
学習型フィードフォワード制御方式の実用化のために、前報で提案した簡便な設計指針に従って制御システムを設計し、実船実験によってその有効性を確認した。図は目標値追従系(LFFCD)を用いたバウスラスターによる回頭角制御の一例である。その他、舵による回頭角制御についても検討しており、上記制御方式が実用化できることが確認された。

18) 空気バネ利用の減揺水槽に関する研究(英文)
平野雅祥、日根野元裕(三井昭研)
本論文は、空気バネを利用した減揺(横揺)水槽に関して、理論面からその可能性を検討したものである。先ず、ラグランジュの方程式をもとに横揺・水槽系の運動方程式を導き、次にそれをベースに水槽の理論設計法の開発を行った。続いて、小型船を対象にして具体的な減揺水槽の設計を試み、種々の設計例について減揺効果の検討を行った。その結果、本減揺水槽は十分に実現可能なコンセプトであることが分かった。

Roll Response Function(Ship A-Case A1)
19) セルラオートマトン法による拡散現象の解析
森下信(横浜国大)、長谷川純一(横浜国大院)、中野孝昭(リクルート)、築山洋(築山研究室)
本研究では離散解析法の1つであるセルラオートマトンを用いて拡散過程を表すモデルを構築し、モデルの妥当性について検証した。また日本海で発生したナホトカ号による重油流出拡散に関するシミュレーションを行い、本モデルの有効性について検討した。このシミュレーション手法によれば短時間で拡散予測が可能となり、様々な条件下での数値実験を行うことにより事故後の迅速な対応策を協議することが容易となる。

重油拡散シミュレーション
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