12) エンベロープスペクトラムを規定した不規則波の造波法とその試験結果(英文)
野原勉、松浦正巳(三菱重工)
本論文は、エンベロープスペクトラムを規定した不規則波の実時間造波アルゴリズムについて述べる。計算機シミュレーションにより、本アルゴリズムが、正確に規定したエンベロープスペクトラムを持った不規則波を造り出していることを確かめ、さらに、この不規則波が、船舶などの係留に影響を及ぼす長周期動揺を引き起こしていることを確認した。sway方向に顕著に動揺力が働いていることを水槽実験により確かめた。
ORIG.&DEFINED ENV.POWER SPECTRUM

エンベロープスペクトラムの比較
実線:通常の不規則波
破線:エンベロープスペクトラムを規定した不規則波
13) 一般商船の波浪の目視観測精度と波浪荷重について
河辺寛(防衛大)、正岡孝治(大阪府大)
波浪観測値の中には、気象庁の海象観測船から通報されたものがある。観測船には、観測訓練を受けた専門観測員が乗船しており、波浪観測値の数値は信用できる。それに対して、商船には、一般に専門観測員が乗船していないので、波浪観測値は観測船ほど信用できない。本研究では、1976年〜1989年の14年間の観測値をもとに、商船と観測船の波浪観測値を統計的に比較し、商船の波浪の目視観測の精度を調べ、波浪荷重の長期分布への影響を述べる。

風浪周期の相関
14) 衛星画像情報を用いた海洋波浪の把握
―ひまわり画像を用いた雲の分類―
山田智貴、細田龍介(大阪府大)
静止気象衛星「ひまわり」によって取得される可視・赤外雲画像より、雲頂高度、雲厚、雲縁傾斜、雲縁複雑度等のパラメターを抽出し、ファジィ積分の適用によって、雲そのものの持つ暖昧さ、解析過程で混入する人間由来の曖昧さの影響、各パラメターの非独立性を考慮に入れた雲解析モデルを構築し、層雲系および積雲系の雲に対して熟練解析者の評価ど同様の雲種判別が行えることを示した。この結果は、雲画像―天気図―波浪図の時空間相関解析を通して、海洋波浪環境把握手法の開発に用いられる。

教師データを用いた雲解析結果
15) 深水域における重力波の自然砕波ならびに強制砕波について(英文)
冨田宏、M.Houri、沢田博史(船研)
外洋における砕波の発生機構のモデルとして2種類の異なった場合について、水槽実験により検討している。第1の場合は、比較的穏やかな海面に見られるCrescent Waveに伴う3次元砕波であり、この現象がStokes波の1つの分岐解として説明できることを実験的に確認した。第2の場合は、主として荒天時に現れるPlunging Waveである。ここでは自己収束波としてこれを2次元水槽に再現し、Laser Doppler流速計、高速ビデオ等を用いて、その波形変化、波峰部流速分布、エネルギー遷移、周波数逓減等の運動学的性質について詳細に調べた。

Development of Plunging Breaking Waves in deep water
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