【実用性】
・営業走行試験において29万km以上の走行実績をあげた。その中で、運転者からの運転性に関する評価では、エンジンの始動性、エンジン安定性、加速性はディーゼル車とほぼ同等であった。試験期間中、運転性に関する変化はなく、ディーゼル車と比べ、振動、騒音、排気ガス臭について運転者から良い評価が得られた。従ってCNG車自体の運転性に関しては大きな問題はないと考えられる。今回のような営業運行の範囲であれば性能上十分に使用可能であると考えられる。
・車両に関する実用性としては、燃料圧力ゲージの表示が不安定、排気ブレーキが未装備で坂道が運転しづらい、発進時にエンストしやすい等従来のディーゼル車とは異なる細部の構造部分に基づく指摘があった。実際の営業走行においても燃料系に関する車両保守を行っており、細部にわたるCNG車のさらなる品質向上が期待される。
・軽油とCNG燃料の発熱量は異なるが(注記参照)、市場で使用されている燃料原単位(L、Nm3)で比較すると、得られたデータの範囲では、CNG車のほうが、約14%燃費が悪いことになる。軽油とCNGの低発熱量の差を考慮してエネルギーベースで比較すると、ディーゼル車のほうがエネルギー消費率が約35%低かった。高圧要素部品等の軽量化、CNG車の燃焼技術の改良等による燃料消費率向上が課題である。
・1充填あたりの走行距離が短いこと、充填所の数が少ないこと等により、ディーゼル車に比べ燃料補給の利便性が劣る。しかしながら、天然ガスの急速充填所の数は、平成11年2月3日現在では65ヶ所整備されており、この調査事業が開始された平成7年度から約2倍に増加している((社)日本ガス協会調べ)。これから平成12年迄に200ヶ所以上の天然ガス充填所整備が計画されている。今後、さらにインフラ整備の増強に伴い、CNG車の普及が促進されるものと期待される。
-注記-
【経済性】
・この調査対象事業者では共同輸配送を行うことで、走行距離の削減は13〜63%に及んだ。その他、事業者によっては待ち時間が短縮することによる配送効率の向上、長時間駐車の減少等共同輸配送により多くの効果があげられた。
・燃料価格をCNGと軽油で同等とし、各事業者の営業走行における燃料経済性を検討した結果、この試算条件では、ディーゼル車を用いた共同輸配送に対しCNG車を用いた共同輸配送の燃料費は約21〜41%増加したが、共同輸配送による走行距離の削減効果によって、ディーゼル車で共同輸配送を行わない場合に比べ、4事業者において燃料費は47〜86%と減少した。但し、共同輸配送による走行距離削減効果の少ない事業者では燃料費は103〜119%と増加した。