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(3) この調査事例におけるCNG車導入による環境改善効果

この調査事例における環境改善効果試算条件では共同輸配送をしないディーゼル車に比べ共同輸配送にCNG車を導入すると、地域環境に影響する排出ガスに関し、NOxは約70〜95%、COは約19〜88%、HCは約37〜92%、PMはほぼ100%近く改善された。試算結果より、CNG車は、共同輸配送と合わせ特に、NOx、PMに大きな改善効果があることがわかった。

地球温暖化効果ガスであるCO2、N2、CH4を対象とし、CO2に換算して地球温暖化効果ガス排出量を評価した。今回の試算条件では共同輸配送をしないディーゼル車に比べ共同輸配送にCNG車を導入すると、CO2は約22〜63%削減できた。

N2O、CH4の排出量はCO2換算でせいぜい全換算CO2排出量の1%程度であり、地球温暖化効果ガスへの寄与度は非常に低かった。

アイドリング時間が50%減れば、ディーゼル車の場合NOxは4%以上、CNG車の場合0.4%程度の改善効果がある。CO2排出量(燃料消費量)は、ディーゼル車の場合約3%、CNG車の場合約6%の改善効果がある。ディーゼル車のアイドリングストップによる環境改善効果はCNG車より大きいが、CNG車のアイドリング時の排出ガスは少ないため、アイドリング時間が大きい走行形態ではCNG車の方が環境改善効果が大きい。

 

8.3 結言

 

国際エネルギー機関(IEA)は1998年、日本のエネルギー政策について4年に一度の詳細な定期レビューを実施した。このなかでIEAは、エネルギーの安定供給と環境の問題があることから、石油消費量の低減またはエネルギーの多様化を図ることを目指すことが筋道であり、エネルギー需要を満たし、環境負荷レベルからしても妥当な天然ガスが、代替として考慮され得る、としている。同時に、天然ガスのコスト削減と供給安定性の向上のため、天然ガス市場において競争が生まれるような措置を検討するべきであるという。また、経済的に成り立つところでは天然ガス供給網の拡充を奨励すべきである、と勧告されている。

昨今のこのような状況から、日本は天然ガスの積極的利用を一段と進める必要があり、CNG自動車の普及促進はこのような国際的要請にも応えるものである。インフラ整備、車両開発などの課題も徐々に克服されつつあるなか、CNG自動車の役割が期待される。

一方では、運送事業におけるエネルギー効率向上、環境改善に大きな効果をもたらすシステムの一方法としての共同輸配送に、NOx等の排出量抑制効果の高いCNG車等の低公害車を導入した環境調和型のシステムは、さらに高いNOx等の抑制効果(環境改善効果)が期待される。現在、その普及のため、荷主、事業者、行政等関係機関の努力がなされつつある。

このシステムの導入・普及を図っていくため、この調査においては、共同輸配送用車両にCNG車を導入し、営業走行試験、排出ガス試験、走行実態調査等を行い、共同輸配送にCNG車を導入した時の実用性、経済性、環境影響、課題等について可能な限り、定量的に検討を行った。

 

 

 

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