天然ガスの急速充填所の数は、この調査事業が開始された平成7年度は大都市を中心として全国で34ヶ所であったが、平成11年2月3日現在では65ヶ所と約2倍に増加している((社)日本ガス協会調べ)。平成12年には200ヶ所以上の天然ガス充填所整備が計画されており、今後インフラ整備の増強が図られるに伴いCNG車の普及が促進されると考えられる。
(2) この調査事例における共同輸配送の経済的効果
調査対象事業者では共同輸配送を行うことで、走行距離の削減は13〜63%に及んだ。その他、車両台数が減り、その結果事業者によっては待ち時間が短縮することによる配送効率の向上、長時間駐車の減少等共同輸配送により種々の効果があげられた。
次に、共同輸配送にCNG車を導入したときの燃料経済性を定量的に試算した。燃料価格をCNGと軽油で同等とし、各事業者の営業走行における燃料経済性を検討した結果、この試算条件では、ディーゼル車を用いた共同輸配送に対しCNG車を用いた共同輸配送の燃料費は約21〜41%増加したが、共同輸配送による走行距離の削減効果によって、ディーゼル車で共同輸配送を行わない場合に比べ、4事業者において燃料費は47〜86%と減少した。但し、共同輸配送による走行距離削減効果の少ない事業者では燃料費は103〜119%と増加した。
CNG車を利用した共同輸配送における燃料経済性の向上のためには、車両燃費の向上及び軽油と比較した燃料価格の低減が望まれる。
D10・15モード走行における、アイドリング時間が燃費に及ぼす影響を検討した結果、アイドリング時間が50%減れば、ディーゼル車の場合約3%、CNG車の場合約6%の燃費改善効果があることがわかった。
共同輸配送へのCNG車導入の定性的効果は、図8-2-1のように示すことができる。