PMについては、他のCNG車でも同様な傾向が見られたのでこの部分については以後割愛する)。
* 約20,000kmまでは、CO、HCが増加傾向にあった。一般的には空然比が小さくなると(混合気が濃い方にシフトすると)このような現象があらわれるので、この理由としては空然比の若干の変化が指摘された。
* エンジンオーバーランは、試験条件とエンジンのオーバーランに対する燃料カット条件の不一致により発生したもので、高回転での燃料カット条件の見直しによる改善が実施された。
[G13モード]
D10・15モードとほぼ同様な傾向にあるが、CO2はディーゼル車より低い傾向があった。またNOx排出量もD10・15モードに対し割合的に低い傾向が見られた。
(2) A-2車(城南運送事業協同組合)
[排出ガスに関するエンジン調整経緯]
走行距離11,561kmから49,641km間の3回の測定結果では、D10・15モードのNOx排出量は8.45〜10.4g/kmと他の車両と比べ高い値を示し、49,641km時点でのG13モードではNOx13.6g/kWhと諸元値に対して非常に高い値を示した。
* 試験結果について自動車メーカーで検討した結果、D10・15モードについては、過渡運転時の空燃比変化に対する燃料制御の応答性不足で空燃比制御が不十分であったためと推定された。G13モードについては、高負荷の理論空燃比制御域で、制御が不十分のため高い排出量を示したと推定された。また同時に、触媒及び酸素センサーの劣化も懸念された。
そのため、過渡運転時も含め設定空然比への制御応答性を向上させ、排出ガスの排出を抑制した仕様への改良及び触媒、酸素センサーの交換が自動車メーカーにより実施された。改良仕様での試験結果は、G13モードについてはNOx排出ガス量が改良前に比べ各測定点で低い値を示し、諸元値に近い結果を示した。
D10・15モードについては、過渡運転でのNOx排出量が低減され、0.47g/kmとなった。これらの結果から改良効果があったと判断された。
しかし、57,585km、64,859kmでの排出ガス試験ではG13モードのNOx排出量は再び増加し、技術指針値を越える値を示した。そのため再度エンジンの空燃比制御条件を調整した。その結果、NOx排出量の改善は見られたが、65,046、68,184kmにおける排出ガス試験では諸元値に対しまだ高い状態であった。
以上のような経過を踏まえ、平成10年7月24日(76,014km)に第3回目の調整を行った。その結果、排出ガスは大幅に減少した。調整の内容はエンジンの空燃比制御性の改善及び空燃比制御システムの変更である。これにより、エンジンの諸元値の変更も行った。市場における該当車種の仕様は、この調査における第3回目の仕様であるため、この調査においては、この仕様における排出ガス測定結果を使用することとした。