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【経済性】

・この調査対象事業者では共同輸配送を実施したことによって、走行距離の削減は13〜63%に及んだ。その他、事業者によっては待ち時間が短縮することによる配送効率の向上、長時間路上駐車の減少による交通緩和等、共同輸配送により多くの効果があげられた。

・燃料価格をCNGと軽油で同等とし、各事業者の営業走行における燃料経済性を検討した結果、この試算条件では、ディーゼル車を用いた共同輸配送に対しCNG車を用いた共同輸配送の燃料費は約21〜41%増加したが、共同輸配送による走行距離の削減効果によって、ディーゼル車で共同輸配送を行わない場合に比べ、4事業者において燃料費は47〜86%と減少した。但し、共同輸配送による走行距離削減効果の少ない事業者では燃料費は103〜119%と増加した。CNG車による共同輸配送において燃料の経済性を高めるためには、車両の燃料消費率の向上を図るための改良及びCNG燃料価格を軽油以下に低減することが肝要である。

・CNG車のアイドリングストップによる燃費改善効果はディーゼル車より大きく、アイドリング時間が50%減れば、ディーゼル車の場合約3%、CNG車の場合約6%の燃費改善効果があることがわかった。従って、アイドリングストップに向けた取組みの推進を図る必要があると思われる。

【環境改善効果】

・地域環境に影響する排出ガスに関しては、NOxは約70〜95%、COは約19〜88%、HCは約37〜92%、PMはほぼ100%近く削減され、大気の環境改善に大きく寄与することが分かった。特にNOx及びPMの排出量を大幅に削減できる。

・今回の条件では共同輸配送を実践していないディーゼル車の走行実績と比べ、共同輸配送にCNG車を導入すると、CO2は約22〜63%削減すると試算された。その効果のほとんどは共同輸配送による大幅な車両数の削減によって、走行距離が削減される(走行距離の削減効果は13〜63%に及ぶ)ことによるものである。さらなるCO2削減のために、車両の軽量化、シリンダ内直接噴射、ハイブリッドシステム等の技術をこの種の車両に導入することが期待される。車両単体の比較では、CO2排出量はディーゼル車と同等か若干劣る。

・排出されるN2O、CH4の排出量はCO2換算で全換算CO2排出量のせいぜい1%程度であった。

・アイドリング時間が50%減れば、ディーゼル車の場合NOxは4%以上、CNG車の場合0.4%程度の改善効果がある。CO2排出量(燃料消費量)はディーゼル車の場合約3%、CNG車の場合約6%の改善効果がある。ディーゼル車のアイドリングストップによる環境改善効果はCNG車より大きいが、CNG車のアイドリング時の排出ガスは少ないため、アイドリング時間が大きい走行形態ではCNG車の方が環境改善効果が大きい。

 

 

 

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