6 結言
運送事業におけるエネルギー効率向上、環境改善に大きな効果を与える共同輸配送にNOx等の排出量抑制効果の高いCNG車を導入した環境調和型のシステムの実践の拡大を図ることによって、交通量の削減等によりさらに高いNOx等の抑制効果が期待される。現在、その普及のため、荷主、貨物自動車運送事業者、行政等関係者の努力がなされつつある。
このシステムの導入・普及を図っていくため、この調査においては、共同輸配送用車両にCNG車を導入し、営業走行試験、排出ガス試験、走行実態調査等を行い、共同輸配送にCNG車を導入した時の実用性、経済性、環境影響、課題等について可能な限り、定量的に検討を行った。
【実用性】
・営業走行試験において29万km以上の走行実績をあげた。その中で運転者からの運転性に関する評価では、エンジンの始動性、エンジン安定性、加速性はディーゼル車とほぼ同等であった。試験期間中、運転性に関する変化はなく、ディーゼル車と比べ、振動、騒音、排気ガス臭について運転者から良い評価が得られた。従ってCNG車自体の運転性に関しては大きな問題はないと考えられる。今回のような営業運行の範囲であれば性能上十分に使用可能であると考えられる。
・車両に関する実用性としては、燃料圧力ゲージの表示の不安定性、排気ブレーキの末装備、発進時にエンストしやすい等従来のディーゼル車とは異なる細部の構造部分に基づく指摘があった。実際の営業走行においても燃料系に関する車両保守を行っており、細部にわたるCNG車のさらなる品質向上が期待される。
・軽油とCNG燃料の発熱量は異なるが、市場で使用されている燃料単位(L、Nm3)で比較すると、D10・15モード(平均車速22.7km/h)で測定したデータでは、CNG車のほうが約14%燃費が悪かった。高圧要素部品等の軽量化、燃焼技術の改良等による車両燃費のさらなる改善が肝要である。
・1充填あたりの走行距離が短いこと、充填所の数が少ないことにより、ディーゼル車に比べ燃料補給の利便性が劣る。しかしながら、天然ガスの急速充填所は、平成11年2月3日現在では65ヶ所整備されており、この調査事業が開始された平成7年度から約2倍に増加している((社)日本ガス協会調べ)。平成12年迄にさらに200ヶ所以上の天然ガス充填所整備が計画されている。今後、さらにインフラ整備の増強が図られることに伴い、CNG車の普及が進むものと期待される。