□ディーゼル・エンジン・バスは、触媒なしのエンジンで比較した場合、COの排出が最も高くなります。にもかかわらず、触媒は都市バスにかなり普通のものであるため、この場合の曲線もまた、図に示されています。触媒の変換率はCOに対して80%と想定されました。この数字はアルコールとバイオガスに関するものよりはやや低いものとなっていますが、これは一部には保守的な推定であるためと、また多くのディーゼル触媒が硫黄を含む燃料を前提にデザインされており、このため効果が少ないためです。触媒の効果は、それが使用された時に、アルコールを動力とするバスの場合の排出の劇的な減少という形でも見ることができます。
□炭化水素の排出はバイオガスについて最も高くなっていますが、これは一部にはテストがオットー・エンジンで行われたためと、一部にはメタンの酸化が他のすべての炭化水素(およびアルコール)より低いためです。メタンは健康へのリスクとはならないため、NMHC(非メタン炭化水素)の排出もまた含まれています。メタンを正確に測定することの困難性を考慮したうえで、重炭化水素の含有量は3%と想定されました。この数値は文献にしばしば引用される約10%より低いものですが、この研究で行われた測定では、重炭化水素の排出は特別低いことが示されています。触媒を付けないエンジンからの炭化水素の排出は通常、ディーゼルに対してより、アルコールの方がやや高くなりますが、ガスに対してよりはアルコールの方が明らかに低くなります。他方、触媒の導入によりアルコール・エンジンからの炭化水素の排出は非常に低いものです。ディーゼル・エンジン・バスからの炭化水素の排出は、COに対するものと同じ方法で、触媒を付けた場合と付けない場合で図に示されました。この場合の触媒の変換率は70%と想定されました。
□NOxの排出はディーゼルの場合に最も高くなります。最新の技術によりエタノールからのNOxの排出はディーゼルより30%低くなりますが、この相対的な差は将来的には50%以上に開くことが予想されています。この場合の理由は、将来導入されるであろうEGRが、ディーゼル・エンジンに対してよりもアルコール・エンジンの場合にNOxを減らす、より大きな可能性を持っているためです。NOxの排出はバイオガスの場合に最も低くなりますが、これは主に使用されたエンジン・タイプが、一般的にNOxの排出が少ない、リーン・バーンのオットー・エンジンであるためです。他の2つのタイプのエンジンはディーゼル・エンジンです。奇妙なことですが、アルコールで走行するオットー・エンジン自動車は、最初の燃料のより低い燃焼温度のために、ガス・エンジンよりもNOxの排出がおそらく少なくなるでしょう。この事実はアルコールで走行する小型自動車からのNOxの排出とバイオガスで走行する小型自動車からのNOxの排出に関しても明らかです。しかしながら、アルコール走行のためにオットー・エンジンに転換された大型ディーゼル・エンジンで商業的に利用できるものはありません。これはそのような改造の複雑な仕組みと、オットー・エンジンの効率性がディーゼル・エンジンの効率性よりかなり低いという理由によるものです。