日本財団 図書館


米国でテストされたもうひとつの有望な新しいエンジン概念はスターリング・エンジンです。スターリング・エンジンはさまざまな異なった燃料で走行でき、低い排出ガスレベルを実現します。初期の実験ではスターリング・エンジンはその高い生産コストと、大きさと重さをコントロールすることが困難であったため、競争力を持つことは困難でした。しかしながら、このエンジンの概念はさらに開発され、現在では代替自動車の概念の範囲を開発するための米国自動車業界の活動の中に含まれています。

より早期に実現可能なエンジンの概念には、直接噴射のオットー・エンジンの開発が含まれています。結局、大型自動車のために直接噴射を持つオットー・エンジンを使うことが、長期的にみて価値のあるものとすることができるでしょう。

 

触媒と他の浄化技術の開発

 

触媒の分野では技術の進歩が世界的なレベルで急速に進展しており、さらなる進展が近い将来に期待できます。エンジンの燃焼中に形成される、燃焼しない燃料残滓と汚染物の排出は、酸化触媒を使用することで劇的に減らすことができます。

エタノール・エンジンで形成される汚染物質について、それは主に制御される必要があるアルデヒドの排出です。スス状の粒子状物質を含む排出ガスを生み出すディーゼル燃料で走行するディーゼル・エンジンと異なり、エタノールで走行する自動車に触媒技術を使うことは技術的にはより簡単です。

都市交通におけるエタノールで走行する大型自動車のための排気触媒の開発と規格化に関する拡大作業が、KFBのバイオ燃料プログラムの中で実施されました。導入作業から得られた教訓は、アセトアルデヒドは触媒の中でエタノールから形成することができるので、触媒の助けを借りてホルムアルデヒドの排出を制限することは比較的容易であるということです。さらに、強力な酸化機能を持つ触媒は、エタノールとアセトアルデヒドを、自動車が使用される道路上での典型的な排気の臭いに関係する問題につながる酢酸に転換する可能性があります。強力な酸化機能を持つ触媒に関するさらなる問題は、窒素酸化物の多くの部分が触媒の中で二酸化窒素に酸化されることです。

 

新しい触媒の概念

 

大型自動車のための触媒の生産者は現在、ほとんどの部分の異なったグレードのディーゼルおよびこれらの燃料に関連した特別の問題について、伝統的な化石燃料に注力しています。天然ガス・エンジンのための触媒についてもまた、いくつかの関心が持たれています。エタノールで走行する自動車の触媒への研究が多かれ少なかれ無視できるものである一方で、この結果はバイオガスにも適用することが可能です。このため、KFBのバイオ燃料プログラムの枠組みの中で、拡大開発作業が、エタノールに関連した純粋化の必要性に基づいた新しい触媒の概念を開発する目的で、KTHにおいて実施されました。この研究は、新しいタイプの触媒はさまざまな稀少金属の組み合わせを含んでデザインされるべきだという結論を出しました(Pettersson L その他、1997)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION