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科学者は環境のシステムが大気中の成分の変化にどの程度敏感なのかについてまだ確信がありませんが、もし化石のエネルギー源を使用するという我々の現在のやり方が今後も許されるとすれば、地球は著しく温暖化するということについては、広範な合意があります。

石炭、原油および天然ガスの燃焼により二酸化炭素が放出され、これが温室効果の主因です。これらの排出ガスを取り除くことができる浄化の手段はありません。唯一の解決策は燃焼効率を改善することであり、運輸活動の量を減らすことであり、そして徐々に化石のエネルギー源を、太陽、バイオエネルギー、風力、水力といった再生可能なエネルギー源へと置き換えていくことです。IPCCはその報告書の中で、ほんのわずかな、あるいは無視できるコストでエネルギー使用の効率を10%から30%改善することができることを実証しています。しかしながら、IPCCの報告書はまた長期的にはエネルギーの効率の改善以上のものが、環境の変化を回避するために求められると述べています。再生可能な資源に基づく新しいタイプのエネルギーが、将来的には世界のエネルギー供給の柱となる必要があります。

1992年にリオ・デ・ジャネイロで開催された環境と開発に関する国連会議において、スウェーデンと他の諸国は2000年までに工業国の二酸化炭素の排出量を1990年当時のレベルに抑えることを意図した環境に関する条約に署名しました。しかしながら、実際上これは大気中の二酸化炭素の量は増え続けることを意味しています。国連総会はまたその1997年6月の特別部会で(環境の部、1997)、条約の採択にもかかわらず、IPCCからの科学的証拠が多くの不確実性を減らし、地球の環境の変化に関する深刻なリスクを以前とは比べものにならない断固とした調子で示したにもかかわらず、二酸化炭素の排出量は依然として増加しているという事実を明らかにしました。国際的な環境のゴールを厳格にし、再定義しようという国際的な活動がこのために続けられています。1997年12月に京都で開かれた国連の環境会議は、個々の国々に排出ガスを減らすことに取り組むことを促した最初の段階でした。

もし二酸化炭素の地球の人々1人当たりの排出量が、統一して割り当てられたとしたら、スウェーデンのような工業国はその排出を50%から80%まで減らす必要に迫られるでしょう。スウェーデンの二酸化炭素の排出の約40%は運輸に起因していることから、実際上原則として同じ規模の削減が他の部門ではなく、この部門に求められるでしょう。例えば、交通の種類による分析において、ESTプロジェクトは、費用対効果の方法でこれらの削減を達成できる最大の可能性は、道路交通に存在していると想定しています(スウェーデン環境保護庁、1996a)。このため、長期的ゴールは2050年までに二酸化炭素の排出を75%削減することで設定されました(表2.1)。

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表2.1.1990年のレベルからのCO2の排出の削減に関する国のゴールのための提案(スウェーデン環境保護庁、1996a)。

 

 

 

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