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環境に関する意識の向上および欧州全域の汚染の解決策を提供したいという欧州連合のメンバーの希望を受け、統制され、焦点が絞られた全欧州的な代替燃料政策の確立が急務となっています。それは全ての代替およびクリーンに燃える燃料への関心を惹起することができる、釣り合いの取れた、燃料に中立な政策であるべきです。「lECU当たり削減された排出ガスのトン数」の観点から、代替燃料はコスト削減効果のある戦略を提供することができます。

医療関連コストは大気汚染のひとつの結果として増加を続けるでしょう。自動車に関する汚染削減戦略に投資することで、スモッグ、オゾンおよび粒子状物質の増加に関連した医療関連コストを削減することができるでしょう。

欧州委員会の中でも代替燃料が注目されていますが、これに関する計画はさまざまな一般理事会(DGs)の中に分散しています。このため、どれだけの資金がさまざまな燃料と代替燃料計画を統合しようという課題のために支出されているのか特定することが困難になっています。

運輸部門におけるエネルギー消費については、石油製品がマーケットを独占する状況が続くでしょう。1990年において、石油は経済協力開発機構(OECD)加盟諸国の総エネルギー供給の43%を占めました;消費された石油の60%を運輸部門で占めています。このうち道路を走る自動車が、OECDの運輸のためのエネルギー使用の82%を占めています。予期せぬ価格上昇や避けられない燃料供給の不足に対するヘッジ手段として、あるレベルのエネルギーの分散や柔軟性を開発することは、21世紀に向けての(およびとりわけ運輸部門の)真摯なエネルギー政策でしょう。

各燃料(代替燃料および伝統的燃料)が長所と短所を持っている中で「燃料の万能薬」は存在しません。代替燃料のいくつかは、その地域の税法のためにガソリンとディーゼルに対して競争力を持っており、とりわけ石油を基礎とする燃料が毒性や硫黄を減らして「改質された」時に競争力を持ちます。しかしながら、代替燃料にとって好ましい政府の政策がマーケットへの参入を支援するために開発されなければなりません。なぜなら運輸部門においてガソリンとディーゼルは歴史的にみて90-99%のマーケット・シェアがあるからです。

代替燃料自動車の技術は徐々に世界と欧州において利用可能になっています。燃料補充のためのインフラはガソリンやディーゼルほどには開発・整備されていませんが、洗練された天然ガスと電気の供給ネット・ワークがあり、いくつかの国においてはLPGの準備が整っています。

 

多くの課題があるものの、ECは天然ガス自動車(NGVs)と他の選択肢が、代替燃料を含むECが資金提供したプログラムの範囲のどこにあるかを評価し、重要な事項を標榜するために、複数の一般理事会を超えた戦略を開発すべきです。

 

代替燃料政策のオプション

 

政府は特定の政策を促進するために使用できる多くのオプションと活動を持っています。これらには以下の事項が含まれていますが、これに限定されている訳ではありません:動機づけ(税制面の援助、直接課税、税金還付等);命令;基準の開発;研究の資金援助、開発と公開;大衆教育(啓発);実例を通じたアピールとリーダーシップ(政府のフリートを代替燃料で運行するように転換すること)。加えて、汚染物質の削減を達成するため、国および地方政府により適用できる創造的な「交通規制措置(transportation control measures-TCMs)」があります。

 

 

 

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