日本財団 図書館


このように、燃料電池自動車は、自動車メーカーのみならず部品メーカー、研究機関でも様々に開発が進められている。高い効率を引き出しつつ、車両自体の実用性を確保し、かつコスト低減のための大量普及に向けてコストが低減できるよう、これらのメーカーでは、技術開発によって対応できる部分について精力的に商業化のための取組みを実施している。

2003年頃には、第一陣となる燃料電池自動車が市場に出される見込であるが、環境負荷の低減をはじめとするメリットを本当の意味で享受するには、こうした低公害車の大量な普及が必要である。上記のとおり、今回のフォーラムでは、ユーザーが利用する燃料電池自動車の燃料はいかに供給され得るか、課題についてはどう対処すべきかが議論の焦点となった。

燃料電池自動車を普及するにあたっての障壁のひとつが、燃料の選択と燃料供給のインフラである。例えば、液体であるメタノールは取扱いやすさも含めていくつかの観点から燃料電池自動車に最適な燃料として有望視されているが、実際にユーザー、ドライバー等の消費者が自動車を購入するよう方向づけるには、ガソリンのような経済性と利便性が必要である。これは、自動車メーカー側の努力だけでは解決しない課題である。フォーラムの講演のなかでも、自動車メーカー、燃料供給会社、規制当局、学術機関、研究機関等、様々な分野にまたがる提携・協力が求められる時期に来ている、との声があがっている。

 

3.1.4 ダイレクト・メタノール燃料電池(DMFC)の商業化の見通し

 

平成11年3月1日に米国カリフォルニア州ロサンゼルスにて、Jet Propulstton Laboratory(JPL)のジェラルド・ハルパート氏(先進技術プロジェクト・オフィス)との会合でダイレクト・メタノール燃料電池に関する情報を入手した。

[本情報は、1999年2月4日〜5日ワシントンDCにおいてAMI(American Methanol Institute(米国メタノール協会)及びCMAI(Chemical Market Associates Inc.(コンサルタント会社)主催の「The Road to Methanol Fuel Cell Vehicles:A National Forum」(メタノール燃料電池自動車への道:ナショナル・フォーラム)で発表されたものである。]

 

(1)DMFCプログラムの目的

この技術をデモンストレーションの段階から商業市場に移行させることである。

(2)DMFCシネテムの利点

・メタノールを燃料として活用すること。

-水素よりも容積エネルギー密度が高い。(5kWH/L)

-CO又はNOxが排出されない。排出されるのは水とCO2のみである。

-利便性が高く、迅速な燃料輸送及び貯蔵が可能である。

-高圧水素及び水素化物を貯蔵しなくても済む。

-メタノール改質器が不要である。そのためシステムの複雑さが軽減する。

(FCシステムの重量及び容積が低減する)

-車両側の負荷変化に対しミリ秒単位で反応できる(過渡応答性が良い)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION