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燃料電池自動車に関する環境政策的機会

J.Mark Union of Concerned Scientists(国家ベースの非営利組織)

 

高エネルギー性と環境面のメリットを背景に、燃料電池自動車の開発が進められている。大気汚染や気候変動などの問題、石油資源の減少といった面からも、こうしたクリーンかつ効率的な技術に関する機会はまちがいなく広がると考えられる。

 

燃料電池は運輸部門21世紀の環境面の需要を満たす動力源として、有力な候補とされている。自動車メーカーや燃料供給業者は、水素のインフラ面の障害を克服すべく、メタノール、エタノール、石油製品など、液体燃料を利用した燃料電池の開発をおこなっている。

運輸部門における燃料電池自動車の優位性や環境政策を見直す必要があろう。

 

1:燃料電池自動車は、輸送技術としては最もクリーンである。しかしながら、再生可能な水素燃料電池自動車の環境的なメリットに匹敵するような他の先端技術はほぼないものの、再生不可能な水素、メタノール、エタノール、ガソリンを利用した燃料電池自動車は、競争の際に環境面のメリットを打ち出せない可能性もある。改善によって内燃機関自動車の環境負荷が低減されつつあるなか、液体燃料を利用した燃料電池の開発を推進することで、環境面の性能を犠牲にすべきなのか。

 

2:環境に配慮した運輸部門の政策は燃料電池志向となろう。カリフォルニアのゼロエミッションビークル(ZEV)プログラムなど燃料電池自動車の販売を促進するような政策は、そもそも、燃料電池自動車の方が従来の自動車よりも環境に与える負荷がかなり少ないとの見通しを受けて導入されたものである。しかし、新設計の自動車など、こうした政策に柔軟性が付け加えられるにつれ、燃料電池自動車は、優遇策や市場シェアをめぐって、他の最新技術を用いた自動車と競合することになる可能性がある。

新しい技術が開発され、環境政策が導入されるなか、引き続き、将来のよりクリーンな運輸部門における燃料電池の役割を評価していく必要がある。燃料電池が環境面でのメリットを保持することができるのであれば、燃料電池の将来の可能性は非常に大きい。

しかし、他の自動車技術が急速に発達した場合、自動車業界の将来における燃料電池の地位は確約されない。

 

主な前提

引き続き環境的な圧力(環境問題)が存在する。

・走行距離の増加

・大気汚染の進行

・気候変動への対応が求められている。

○燃料電池自動車は、最も環境に優しいオプションである。

○環境政策は燃料電池を志向している。

 

 

 

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