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クライスラー-クライスラー社は燃料電池自動車の燃料としてガソリンを使用するという野心的かつ新天地を開く計画を発表した。ゼネラル・モータースのデルフィ子会社がクライスラー社のための全体的な燃料電池システムを開発中であり、デルフィ社はまたこのプロジェクトのためのガソリン改質器を開発中である。1997年にデルフィ社はガソリン改質器の開発にあたり、Arco社およびエクソン社両社と共同していると発表した。燃料電池はハイブリッド方式とうまく組み合わされ、提案されたクライスラー自動車はそのようなハイブリッドの一例である。この自動車は25kWの燃料電池システムを使用し、最大パワーではバッテリーを使用する予定である。バラード社はガソリンの改質により生じる希薄化した水素と他の成分での運行のために特別に改良された、この自動車のための燃料電池を供給している。

 

日産-1997年の東京モーター・ショーで日産はハイブリッド方式でリチウム・イオン・バッテリーとともにバラード社の燃料電池を使用する自動車システムの概念を発表した。このシステムはメタノールを燃料とし、日産はこのようなシステムは燃料の経済性を改善し、二酸化炭素の排出を50%削減すると予測している。メタノールは水素と二酸化炭素に改質され、燃料電池は水素を消費する。バラード社の燃料電池は日産独自のリチウム・イオン・バッテリーとともにハイブリッド化される。パワーは燃料電池とバッテリーの両方からモーター制御機に伝えられ、それから電気モーターに伝わる。

 

VW自動車-欧州連合が後援する計画がフォルクスワーゲン社、ボルボ社、Johnson Matthey社、オランダ・エネルギー研究財団(ECN)およびバラード社により受託されている。このシステムはJohnson Matthey社の自動温度改質器により改質されたメタノールを燃料とする予定である。バラード社はこのタイプの燃料のために改良された燃料電池を供給した。この燃料電池システムは、消費の少ない時には、加速の際のような消費の多い時のためにエネルギーを蓄えるようにバッテリーにエネルギーを供給する。この方式には改質器と燃料電池を一定かつ高い効率で作動させる長所がある。

 

燃料インフラ

 

燃料電池の広範な使用のために克服すべき重要な挑戦のひとつが燃料インフラの問題である。さまざまな燃料を使用するさまざまなシステムが、システムのデザインと給油の容易さに関してトレードオフの関係にあります。図2の燃料問題を参照されたい。

 

最も簡単な自動車システムのアプローチは、燃料電池が水素を圧縮ガス・シリンダーや金属の水素化物あるいは液体貯蔵のような貯蔵装置から、直接使用することである。直接水素システムの主要な欠点は、燃料補充のためのインフラの不足である。この障害は、集中化した燃料貯蔵と配送施設を使用することにより、限られた運行区域でのフリート自動車の場合には少なくとも克服することができる。更なる欠点は、少なくとも乗用車のような、より小型の自動車にとっては、現在の貯蔵技術におけるかなり低いエネルギー密度である。すでに述べたとおり、バスのような、より大型の自動車は、たとえ圧縮ガスの形でも、有効な走行範囲のために十分な水素を積載することができる。

 

 

 

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