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1997年9月のフランクフルトモーター・ショーでトヨタはもう1台のRAV4をベースにした燃料電池自動車を披露したが、この自動車はメタノールを燃料とするものであった。この自動車は前の自動車と同じ基本的な配置を行なっており、燃料電池システムの背後とフロアー・パンの下に置かれたメタノール改質器を持っている。繰り返すが、水素燃料自動車と同様に、この自動車もまたバッテリーを使用するハイブリッド方式であり、モーター制御機とモニターがフロント車軸の上の自動車の前方に置かれ、走行範囲はトヨタによれば約500kmと報告されている。

 

マツダ-1997年12月に京都で開かれた地球温暖化防止会議(COP3)で、マツダはデミオをベースとした燃料電池自動車を紹介した。この自動車もまた水素貯蔵のために金属水素化物を使用し、総出力40kWのハイブリッド方式で、ウルトラコンデンサーに接続した25kWの燃料電池を搭載している。燃料電池システムはステーション・ワゴンの後部格納庫の下に置かれ、乗員用のスペースとともにいくらかの収納スペースを確保している。この燃料電池の研究と開発は1997年のマツダの研究および開発賞を獲得し、製造業者の動機づけとなった技術の重要性を示している。

 

コンセプトカー

 

これら既存の自動車に加え(数多くのコンセプトカーが発表されている。これらコンセプトカーの多くが、近い将来に運行される試験車になることが期待されている。

 

ゼネラル・モータース(GM)-ゼネラル・モニタースは1988年初めに燃料電池の開発計画に着手し、1991年以降エネルギー省が資金援助した計画に参加するなど、PEM関連技術への関与に長い歴史を持っている。バラード社は1991年以降、GM社のさまざまな子会社に燃料電池を供給している。1998年1月のデトロイト・モーター・ショーにおいて、GMは燃料電池自動車の概念を発表した。この自動車はEVlの改造版をベースにしている。それはバッテリーを使用するハイブリッド方式で燃料電池を使用している。提案された燃料は車載改質器からのメタノールである。メタノール改質器は自動車の後部に置かれ、燃料電池は前部座席の後ろに置かれている。EVlと同様に、バッテリーは前部座席と主モーターの間のトンネルの中にあり、モーター制御機はフロント車軸の上に置かれている。

 

1998年3月のジュネーブ・モーター・ショーにおいて、GMはオペルのコンセプトカーを発表した。この報告書が提出された時点では少しの情報しか利用できなからた。

 

フォードΡ2000-フォード社は1998年のデトロイト・モーター・ショーでP2000自動車の燃料電池バージョンを発表した。P2000自動車は米国の新世代自動車に向けたパートナーシップ(PNGV)のもとで開発された小型自動車である。dbb燃料電池エンジン社はこの自動車に搭載される予定の水素燃料電池エンジンを開発中である。カナダ政府、バラード社およびdbb燃料電池エンジン社が共同でエンジン開発の資金を提供している。カナダ政府はPNGVとの共同契約に基づきフォードにエンジンを提供している。

1998年に始まった、フォードに納品されることが計画されている一連のエンジンがある。この自動車は水素を燃料とする予定で、計画されている燃料電池エンジンの出力は60kWで燃料電池がこの自動車の唯一の動力源である。

 

 

 

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