NECar IIのための燃料電池エンジンは50kWの出力で、二つの高出力密度のバラード燃料電池を使用している。全体の燃料電池システムは、6人用の当初のシート幅を確保するよう、後部座席の下に固定された箱の中に収められている。電力は自動車の前方の電気モーターに供給され、燃料電池が自動車の唯一の動力源となっている。
NECar II-NECarIIIは1997年9月10日のフランクフルト・モーター・ショーにおいて初めて披露された。これは燃料としてメタノールを使用する世界で初めての燃料電池乗用車であり、このことからこの自動車は一般的に自動車燃料電池システムにおける最高水準のものとみなされている。液体燃料であることから、迅速かつ簡単な燃料補充が可能で、排出ガスが大幅に低減でき、走行範囲も大幅に伸びている。
メルセデス・ベンツのA-クラスをベースとしているこの自動車は40リッターのメタノールを積む燃料タンクを持ち、400kmの走行範囲を持っている。
メタノール燃料タンクと改質器は自動車の後部に置かれているが、燃料電池システムはキャビンの下に置かれている。メタノール改質器は非常にコンパクトで18インチの高さしかない。この自動車はバラード・パワー・システムズ社が製造した高出力密度の燃料電池を使用し、dbb燃料電池エンジン社が製造したエンジンを搭載している。この自動車の動力は燃料電池からのパワーだけで賄われている。
これはここ3年の間における、ダイムラー・ベンツ社からの第4番目の試作車であり、自動車製造業者の高まる関心と能力を示している。
ルノー-この自動車は1997年8月に初めて披露され、ラグーナ・エステートをベースとしている。液体水素を燃料としゼロ排出の自動車である。二つの燃料電池が30kWを供給するために使用され、バッテリーを併用するハイブリッド方式である。走行範囲は500kmとされている。欧州委員会は部分的にこの"FEVER"プロジェクトをジュール計画(Joule Program)のもとで資金援助した。ルノーを含む5社がこのプロジェクトに参加し、Volvo社がプロジェクトのリーダーを勤めている。
Toyota-トヨタは2台の燃料電池自動車を発表した。最初の1台は1996年11月に大阪で開かれた第13回電気自動車シンポジウムで披露された。この水素燃料自動車は金属水素化物に貯蔵された水素を使用し、バッテリーとのハイブリッド方式で燃料電池を使用している。使用された自動車はRAV4で、自動車のフロアー・パンの下に置かれたバッテリーと後部座席の後ろに置かれたバッテリーを使用している。トヨタによれば、この自動車は250kmの目標走行範囲を持っているとのことである。