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バスのエンジンは約650ボルト(400アンペアで作動する275馬力の水素燃料電池システムである。このエンジンは低出力では60%の効率で、高出力では40%の効率で作動する。出力はディファレンシャルに接続した電気モーターにより車輪に伝えらる。この設定ではトランスミッションは不要である。275馬力の燃料電池エンジンにより、このバスは登坂能力、加速および最高速度に関する都市公共輸送当局(Urban Mass Transit Authority)の性能基準に適合している。

 

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図1:ダイムラー・ベンツ/フォード/バラードアライアンス構成図

 

この実証計画から集められた「現実の世界での運行情報」は次世代の燃料電池バス・エンジンを開発するために利用されている。このエンジンはより高い効率の、よりコンパクトで軽量のエンジンを生産するための燃料電池の最も進んだデザインを使用するであろう。加えて、得られた経験からdbb燃料電池エンジン社は、より少ない部品とより高い信頼性およびより低いコストのエンジンを生産する計画を立てている。

 

バス商品化戦略は都市交通マーケットのニーズに適合すべく立案されている。特にすでに述べた燃料電池提携のため、商品化の努力は北米では制限が少なく、欧州やアジアの主要な都市バス:マーケットを含む形で世界的に広がるであろう。

 

NECarII-1996年の発表以来、ダイムラー・ベンツ社は成功裏にNECar IIあるいは第2の新しい電気自動車(New Electric Car)を運行している。NECar IIは新しいV-クラスのメルセデス多目的自動車をベースにしている。この自動車はテスト・コースと公道で特段の問題もなく数千kmを走行した。運転性能はすばらしいことが証明され、高品質の内燃エンジンと実際上区別がつかなかった。この自動車は屋根の高圧シリンダーに貯蔵された水素を燃料とし、250kmの走行範囲と最高速度、時速90kmを出すことができる。

 

 

 

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