上記のことから、ブラッセルにおける天然ガスバスの環境面に関する結論は以下のようになる。
・最適化の措置がとられた天然ガスバスは、ユー口1ディーゼルバスよりも環境にやさしい。
・天然ガス自動車の購入に際しては、燃料消費などを考慮する必要がある。
・エミッションで好ましい水準を達成するには、燃料・エンジン,エンジン制御排出ガス浄化の連鎖を最適化する必要がある。
・天然ガスエンジンの開発に際しては、動的な挙動(経時変化)を考慮することが大切である。
・触媒排気ガス浄化装置の劣化をモニタリングする必要がある。環境にやさしいバスでありつづけるためには、触媒の定期的な交換が必要である。
環境面に加え、エネルギー面についても調査を行った。
1ヶ月あたりの走行距離と燃料消費量に基づいて、lkmあたりの平均燃料消費量を測定した。結果は表3の通りである。全体的には、ディーゼルバスの燃料消費量は100kmあたり48.9リットル、天然ガスバスは同78.6Nm3でぁる。燃料の低発熱量(ディーゼル:36MJ/L、天然ガス:33 MJ/Nm3)を考慮すると、天然ガスバスはディーゼルバスより45%多く燃料を消費する。
MIVBの特定の2つの運行ルートについて、VOEMを利用した燃料消費量の測定が行われた。結果は表4に示す。燃料のエネルギー量を考慮すると、VOEMの測定結果では、天然ガスバスの燃料消費量はディーゼルバスを平均で33%上回る。
表4 全負荷によるA300天然ガスバスとディーゼルバスの燃料消費量
天然ガスバスのほうがエネルギーを消費するのはいくつかの理由がある。
・天然ガスエンジンのエンジン効率は、運行の原則・形態から、ディーゼルバスより低い。
・天然ガス自動車は、タンクなどの重量増加のため、ディーゼルバスより重い。
この2つの影響の大きさは、2つの方法による結果を比較することによって推定可能であろう。充填負荷を含めた方法では、上記2つの要素ともに影響材料となっている。
VOEMの測定では、エンジン効率のみが影響材料となる。これは、両方の場合とも、車両が重いからである。
燃費がよく環境にやさしいバス技術のさらなる追求
ブラッセルに導入されている天然ガスバスは、環境にやさしいが、燃料消費量はやや高めである。1996年には、バス技術とガス燃料との間の新たな比較調査を行うことが決定された。この目的は、エミッションや燃料消費量の分野におけるさまざまな技術の進展を数量化することである。このため、LPG技術も対象となっている。プロジェクトは状況把握段階と測定段階の2段階からなる。