ブラッセルの天然ガスバス
R.Schoofs,MIBE/STIB
ブラッセルでは3ドア、低床の天然ガスバス20台が導入された。各市での試みをより明らかにすること、かつ既存のインフラにかかる投資の割合を低減することが目的である。
<バスに関する技術的な情報>
エンジンは、車軸の間に垂直に左横方向に設置されているため、低床(330mm)を実現している。天然ガスは200気圧に圧縮され、燃料タンクはルーフ部に収納されている。スチール製のタンク(容量80L)が8つある。航続距離は約200kmで、必要であれば、さらに二つのタンクを追加することができる。このMAN社製のエンジン(E2866型)は容量12L、空燃比はλ=1と欧州初である。
<科学的モニタリング・プログラム>
天然ガスバスが運行を開始した1994年4月、環境への影響、走行性能、経済性、受け入れ度、安全性といった特定の分野における情報や経験を蓄積するために、さまざまな試験を行うことが決定された。
騒音と振動
1994年に実施された騒音試験によると、ディーゼル車と比較して
・欧州基準30/157に基づいた車外騒音は、3〜3.5デシベルほど低い。
・アイドリング状態のバスの車外騒音は、約8デシベル低い。
・アイドリング状態のバスの車内騒音は、場所にもよるが、5〜8デシベル低い。
・60km/h走行での車内騒音は、天然ガスバスもディーゼルバスも同じ水準である。
ISO 2631基準で規定されたモードによるアイドリング状態の振動は、ディーゼルバスがガスバスより4倍大きい。しかしながら、20km/h以上で走行する場合には、エンジンよりも路面の状態が振動の主因となるため、この差はなくなる。
以上から、ドライバーや乗客の最初の反応が良いことは理解されよう。ディーゼル臭気やエミッションがなく、騒音や振動も少ないことがプラスに評価されている。
しかしながら、これらのメリットもガスを燃料とする自動車の志向性を高めるには十分でなはく、STIBと定期的なつながりのあるユーザーからガスバスの普及拡大を求める声は聞かれない。
走行結果
天然ガスバスの航続距離は約180kmと制限があり、連続で路線ルー卜を2周するには不足する。路線ルート1回で燃料充填のためバスは必ず車庫に戻らなくてはならない。