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代替ディーゼル燃料の実際の燃焼特性をかなりよく説明している。しかしながら、最善の相関関係は炭化水素燃料により見出された。先進のAudi 1.9TDIエンジンは、燃料の質の違いからエミッションに差異があったものの、炭化水素燃料と代替燃料の両方について、セタン価に対して反応が鈍いように思われた。CFRテス卜はいくつかの燃料、とりわけエステルとの混合燃料に対して着火促進剤の効果を過大評価する傾向があった。

 

エミッション

両方の大型エンジン(VOLVOとVALMET612)からの最も高い炭化水素と一酸化炭素の排出は、エタノールを含んだ燃料とASTM2D燃料において測定された。ECE、SCDとエステル混合燃料との間の差異はわずかであった。エタノール混合燃料とCEC燃料の炭化水素の排出の差異は低負荷の場合でのみ見られた。RMEをエタノール混合燃料に加えることで炭化水素の排出が著しく減少した。エタノール燃料は小型Audi自動車による、定常状態およびFTPテストの両方において最も高い炭化水素の排出を示した。炭化水素および一酸化炭素の排出はセタン価向上剤が加えられた場合、概して減少した。

大型VOLVOエンジンに関しては、窒素酸化物の排出はEtOH15とEtREについては他の燃料の場合と比べ約35%低かった。これは他の大型エンジンでは観察されなかったし、エタノール燃料はCEC燃料と比較しても、Audi自動車の窒素酸化物を減少させなかった。エステル混合燃料はVOLVOエンジンについてはCEC燃料より高い窒素酸化物の排出を示したが、VALMETエンジンやAudi自動車についてはその様な事はなかった。この観点から、燃料の効果はエンジン技術に左右されると見られる。

粒子状物質はVOLVOエンジンとAudi自動車で測定された。粒子状物質はエタノール混合燃料に関して極端に少なかった。フィンランドの低排出ガス炭化水素燃料であるSCDおよびRME20はまた、CEC燃料と比較して粒子状物質の減少を示した。

Boschスモークの数値はVOLVOエンジンに関してはすべての燃料について低かった。最も低いスモーク値はすべての負荷においてエタノール混合燃料で観察された。高負荷の場合には、燃料の間で特段の差異は見られなかった。低負荷においてBoschスモークはセタン価が上がるにつれ増加した(セタン価向上剤が加えられた場合でも同様に)。恐らく燃焼過程はセタン価の低い燃料では完全ではなく、このため黒煙が減少する時に「湿った」粒子状物質を生成する。

Valmetエンジンによる摂氏マイナス6度での煙の不透明性は、セタン価向上剤を加えないEtREに関して高かったが、セタン価向上剤が燃料に加えられた場合は最も低かった。RME20燃料の煙の不透明性はCEC燃料の場合より高かった。摂氏マイナス6度でAudi自動車によるテストではCEC燃料が最も高い不透明性となり、RME20とエタール乳化剤燃料は同じレベルであった。両方のエンジン技術と共に、セタン価向上剤は煙の不透明性を明らかに減らした。

 

 

 

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