は中程度以上の負荷(モード4-10)の時により低い窒素酸化物の排出を記録した。軽い負荷のモードである2、3、11および12の時では、窒素酸化物の排出は標準燃料よりもむしろ高い数値となった。窒素酸化物は現在ディーゼル燃料を使う自動車にって最も重要な問題のひとつである。
CEC燃料はその他の炭化水素燃料より粒子状物質の排出量が多いが、これはCECがより多くの硫黄成分を含んでいるためと見られる。エタノール混合燃料は粒子状物質の排出が最も少ない:その量はCEC燃料の約半分程度である。北欧の低排出燃料であるSCDはエタノール燃料に次いで低い数値となっている:CECと比較して約12%低い水準である。
粒子状物質の排出が最も多いのは、TMEを含んだ燃料であった。TME20とRME20燃料の硫黄含有量は高く、このことが粒子状物質全体に影響している。過去の研究から酸化触媒が使われない場合、バイオ・エステルは粒子状物質の問題を大きくする傾向があることが知られている。これは粒子状物質の中に豊富な溶解性の有機物が含まれているためである。酸化触媒は溶解性の有機物の量を効果的に減少させ、エステル燃料の粒子状物質の排出を減らす効果を持つ。しかしながら、RME燃料に関しては粒子状物質の増加は観察されなかった。
Boschスモーク
低負荷モード2と高負荷モード8での結果から見たBoschスモーク(黒煙)が図9に表示されている。
Boschスモークの数値はすべての燃料について低いものとなっている。このように差異は実際上重要でない。最も低いBoschスモーク値はすべての負荷モードにおいてエタノール混合燃料で観察された。
ASTM 2D燃料は他の燃料よりもやや低い結果となっている。
低負荷ではBoschスモークはセダン価が高くなるにつれ増加するという興味深い現象が観察された。セダン価の低い燃料では燃焼過程が不完全であり、これが「乾いた」黒い粒子状物質が「湿った」粒子状物質へと変わり、黒煙を減らす結果となっていると考えられる。
規制エミッションとBoschスモークに関するセタン価向上剤の効果
セタン価向上剤はすべての燃料の一酸化炭素の排出を減らした(図8)。最大の減少率は約15%であった。炭化水素の排出に関して同様の減少がエステル混合燃料で観察された。セタン価向上剤による窒素酸化物の変化は軽微であった。セタン価向上剤による粒子状物質が減少した唯一のケースはSCD燃料であった。セタン価向上剤がTME20燃料に加えられた時、粒子状物質の排出が増加した。セタン価向上剤を加えた他の燃料の粒子状物質の排出の変化は軽微であった。
セタン価向上剤の特有の効果がBoschスモークの測定において見られた。セタン価向上剤が燃