3 テスト燃料
3.1 テスト燃料マトリクス
基本とされたディーゼル燃料のマトリクスにはCEC標準燃料、北米の伝統的なディーゼル燃料(ASTM 2D規格)、フィンランドの低排出ガスディーゼル燃料(硫黄を含まず、微量の芳香族)、菜種メチル・エステルおよびタール油メチル・エステルを加えたCECディーゼル燃料が含まれる。さらに2つのエタノール混合燃料がマトリクスに追加された。エタノール混合燃料はひとつはエタノールのみ、もうひとつはエタノールと菜種エステルの混合燃料で、スウェーデンの環境クラス1のディーゼル燃料に混合された乳化剤であった(後者がスウェーデンから提案された)2つのセタン価標準燃料が、ひとつは低いセタン価、他のひとつは高いセタン価で小型自動車でテストされた。
基本とされたテスト燃料のあるものは添加剤の効果を判定するためセタン価向上剤と混合されていた。低温流動性向上剤の効果も同様に研究された。
CEC標準燃料(CEC-RF-03-A-84)はNeste石油(フィンランドの国営石油会社)により供給された。CEC標準燃料はRF-08-A-84の基準を満たすため通常の精製品と混合された。硫黄含有量(0.12wt%)はCEC燃料に関しては問題ないが、現在市場で販売されている典型的な燃料の硫黄含有量は0.05wt%ということに留意すべきである。
北米のASTM2D基準を満たした典型的なディーゼル燃料は米国のヒューストンから購入された。その燃料は市場グレードのものであった。
フィンランドの夏季仕様低排出ガスディーゼル燃料、SCDは北欧の低排出ガスディーゼル燃料を代表するものとして選ばれた。低排出ガスディーゼルに関する国の要求は、例えばセダン価の制限(最低53)、芳香族(最大20vol%)および硫黄(最大0.005wt%)などを含む。北欧諸国においては、いくつかの広く使用されている低排出ガスディーゼル燃料の品質が利用可能である。フィンランドの夏季仕様の低排出ガスディーゼル燃料は、それが市場で販売されている最も規格の緩い燃料の品質と同程度に排出ガスの利点(とりわけ規制されていない排出ガスに関して)を持っているにもかかわらず、燃料消費を増加させたりパワーのロスにつながらない点が評価され選ばれた。
菜種メチル・エステル燃料(RME20)はCEC標準燃料とフィンランドのRaisio石油会社から供給された20vol%の菜種メチル・エステルとの混合物であった。
この研究にタール油の製品を含めるという当初のアイデアは、ARBOKEMから供給されたカナダの高セタン価(CN90)の水和タール油成分を研究することであった。残念ながらARBOKEMはこのプロジェクトのために水和タール油成分を供給することができなかった。そして水和タ