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は産業部門からのエミッションの変化によって、エミッション量が変化するとするもの。もうひとつのケースは、OECD諸国において、2010年から2100年の間エミッションが抑制され、すべての二酸化硫黄削減計画が完全に実施されることが前提で、加えて、非OECD諸国も同様の削減を行うという前提に立っているものである。結果の一部を表9に示す。2つのケースを比較することにより、長期的には二酸化硫黄の削減は気候変動の影響を増すものだが、酸性雨の影響を減少することの方がより重要であるということが理解できる。研究者らは、このシミュレーションの範囲内では、硫黄エミッション削減のプラスの影響は、潜在的なマイナスの影響を上回ると結論付けている。

 

表9. 酸性雨および気候変動の影響を受ける欧州地域

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3.3 電気自動車のライフ・サイクル研究

電気自動車は排出ガスを出さないが、電気自動車が環境に何の影響も及ぼさないというわけではない。電気自動車と他の代替燃料自動車の環境への影響を真に比較するには、自動車と燃料の完全なライフ・サイクル影響を観察することが必要となる。ここでは電気自動車とその環境への影響に関する最近の3つの研究を紹介する。

 

3.3.1 電気自動車のライフ・サイクル・エネルギー消費

1995年にSullivan氏とHu氏は、典型的なガソリン内燃自動車と比較した、電気自動車のライフ・サイクル・エネルギー消費量を調査した。(ここで定義されるライフ・サイクルには、材料生産、自動車組立て、運行、保守、配送、廃車、およびリサイクリング処理が含まれ

 

 

 

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