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2.2.4 メタノール

メタノールは、メチル・ターシャリー・ブチル・エーテル(MTBE)を製造するための間接的な原料として、米国で改質ガソリンに広範囲に使われている。(代替燃料としてのメタノールの利用方法ではこれが最も多い)。この添加物の毒性に関する懸念が表明されたが、少なくとも2つの研究によって、実際上この懸念には根拠がないという報告がなされている。化学物質の環境毒性および毒性に関する欧州の機関は、「MTBEに関するリスク特性は、現在の職業上および消費者の被曝に関しては人体の健康に悪影響を与えるものではない」との結論を出した。科学と技術に関するホワイト・ハウス事務所は「含酸素燃料の評価」と題する報告書を発表したが、その中で、MTBEと頭痛、吐き気、めまい、あるいは呼吸困難等の激しい症状との間には関係がないと結論を出している。しかしながら、同報告書は「MTBEは動物の発ガン物質であり、MTBEを人間への潜在的危険物とみなすことを示す十分な証拠がある」とも述べた。報告書はまた、ガソリンと比較してMTBEからのリスクは「同じか、あるいはわずかに少なく、ベンゼンのリスクよりは明らかに少ない」と述べている。

日本において、メタノール燃料とメタノール自動車に関して広範な研究活動が行われている(丹羽氏および井上氏、1995年)。研究分野は火炎の可視性、リード蒸気圧、メタノール混合物の臭い、および排出ガス、稼動性および信頼性に関する制御されたフリート・テストを含む。フリート・テストではオットーとディーゼル・エンジンの両方が使われ、すべての車両はメタノール混合燃料で走るように改造された従来型の自動車であった。実験段階として、現在300台のメタノール自動車が日本で稼動している。しかしながら、信頼性を高めるために改善が求められている。混合燃料と自動車の両方に対する技術上の改善を促進するために、石油産業活性化センターがこの調査を継続している。

 

2.2.5 天然ガス

エミッションという観点から天然ガスは引き続き魅力的な燃料であるが、1997年にはいくつかの事件が起きている。最も重要であったものは、ある企業が製造したコンポジットタンクが漏出を起こしていたことが判明したことである。その会社は1997年に導入が予定されていた圧縮天然ガス用ホンダ・シビックGXのためにタンクを供給することになっていた。タンクの製造業者はその後破産し、自動車の導入は遅れることとなった。米国における圧縮天然ガスの使用に関するもうひとつのマイナスの事例は、圧縮天然ガスのための37の公共ステーションを保有していたアモコ社がこれらのステーションを閉鎖し、液化天然ガスに特化するようになったことである。

 

 

 

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