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ポート燃料噴射は従来のガソリン燃料エンジンに関して使用されており、圧縮天然ガス燃料を使うエンジンに対してもまた導入されている。液化石油ガスの場合にもポート燃料噴射は同様に望ましいが、燃料の蒸気圧力が事態を複雑にしている(図1参照)。もし蒸気噴射が望ましいなら、噴射圧力は(低温始動の状況で)蒸気が想定された圧力で利用可能であることを保証するのに十分な程度低いものでなければならない。例えば、摂氏マイナス34度でプロパンの飽和圧力は135.8kPa(5psig)である。もし自動車が蒸発のための補助手段なしに、この温度で始動し走行しようとすれば、燃料の噴射圧力は135.8kPa(5psig)より高くてはいけない。

液体噴射は、エンジンの容積効率に蒸気噴射のようなマイナスの影響がないという利点がある。事実、液体の蒸発に伴う冷却効果は有益である。高温での、燃料パイプ中の燃料沸騰は回避されなければならない。これは温度に相応した飽和圧力以上に燃料圧力を引き上げるために電気燃料ポンプ(ガソリン燃料噴射に使われるものと類似)を使用することで達成される。結果としての圧力は供給タンクの圧力により変化し、噴射ノズルを通る流量は噴射ノズルに加えられる圧力に影響されるため、制御システムはこの効果を考慮するため、燃料圧力フィードバックを備える必要がある。

 

図1. プロパンの飽和圧力対温度

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要約すれば、液化石油ガスの液体と蒸気の噴射の両方は、ある状況下では難しい。蒸気噴射に関する問題は、蒸気が低い温度で確実に噴射されなければならないことであり、液体噴射に関する問題は、液体が高い温度で確実に噴射されなければならないことである。

 

 

 

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