日本財団 図書館


混合を生み出すという逆効果も生じている。液体燃料についていえば、燃料蒸気が大気に放出されると、揮発性有機化合物エミッションの原因となりうる。典型的なケースとして、制御されていない自動車の給油中、運行中、エンジンを切った後、常温での回転中、燃料システム部品−とりわけ非金属燃料タンクを通じる燃料の浸透により発生する可能性がある。密封燃料システムを利用することによって、これらのエミッションを減らすことができるが、完全に除去できる訳ではない。

米国と欧州の多くの地域において、蒸気回収システムが既存の給油所に設置された。欧州においては、新しい給油所には蒸気回収システムを設置することが求められていると米国でも1998年に生産される自動車の40%に車体取付け給油蒸気再生システムの装着が求められており、2006年に生産される自動車にはすべてこのシステムが装着されることになる。この報告書の時点(1997年)において、これらの車体取付けシステムは自動車の燃料フィルター・パイプに爆発性の空気-燃料混合物を作り出す懸念が表明された。欧州においては、すべての新しい自動車は、走行中の蒸気エミッションを減らすために小さな炭素繊維のキャニスターを付けることが求められている。

 

2.2.1 圧縮天然ガス

厳しいエミッション基準を達成するうえで、天然ガスの利点は明らかである。まず第1に、天然ガスを燃料とするエンジンによる炭化水素の総エミッション量の90%(あるいはそれ以上)はメタンである。このように、非メタン有機ガスは排出される総炭化水素の10分の1に過ぎない。さらに、残りの有機ガスに適用される反応調整係数は0.50の水準に過ぎない。このため、天然ガスを燃料とするエンジンの総炭化水素エミッションは非メタン有機ガスの基準で比較される前に約20の係数で区分される。圧縮天然ガスを燃料とする自動車からの揮発性有機物排出の総量は、ガソリンを燃料とする自動車からの揮発性有機物排出の総量とほぼ同じであるという事実にもかかわらず、これが行われる。

この点を図示するためにTennessee大学、Knoxville、Tennessee、USAで開発された圧縮天然ガス自動車のデータを次に示す(HodgsonぉよびTaylor、1997年)。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION