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ごく近い将来に電気自動車の大量普及が見込めないとした場合の時間的な区切りとして、2015年が選ばれた。このような長期的な評価を行う場合には、輸送のシナリオだけでなく、国の将来的なエネルギー体系の中身を考慮した評価が必要である。

このモデルは、電気自動車が普及していない状況と比較して、様々な普及状況を想定し、その影響を評価するものである。

96年の活動は大部分が構造の修正と、算定モデルの計画に関するものであり、消費者への配慮と柔軟性を改善するようなものであった。活動の結果、基本的には算定モジュールが国やシナリオから独立しているモデル構造が得られた。

この新しい構造によって、モデルの更新と改善が容易になるほか、5カ国以外にも有効なモデルができる。また、こうした「技術的」な改善とは別に、貨物輸送に関するモジュールが開発されている。

 

<バッテリーによる環境への影響>

この他には、いくつかのバッテリー技術について、生産、利用、再利用に関連する環境面のデータを集める活動も実施している。これに含まれるプロセスに関するあらゆる環境的なデータを収集するために、参加国の関連産業と接触を行っている。

より大型の電気自動車の環境への影響について、バッテリーの全ライフサイクルを分析するのに必要なあらゆる情報を集めるため、協議や産業界とのやりとりが続けられている。

現在のところ、収集された情報は大半が、酸化鉛電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、ナトリウム硫黄電池に関するものである。

情報の収集に沿うて、電池生産の各段階におけるエミッションとエネルギー消費についてのまとめが作成されている。この活動に伴い、様々な電池の事業プロセスで生じるどの種類のエミッションが環境に最も影響を与える要因であるかについて調べられる。北米が情報収集に注力している。

 

<代替輸送システム>

電気自動車の導入を広い観点で検討することが目的である。このアプローチは、国民による自動車需要を調べ、環境に配慮しながら需要を満たせるような一連のシステム(電気自動車を含む)を提供するものである。

ケーススタディーを行った初年度の経験から、たとえデータ提供があっても、ある国が得た結果を他の国が利用することはできないことが示された。これは、この活動の調査目的に対する新しいアプローチとなっている。今後は、予想される影響を実際に算定することはないが、システムや特定の要求項目についてより質的な描写が行われる。

 

 

 

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