序章 国際エネルギー機関
1 国際エネルギー機関(IEA)の設立
1973年10月の第4次中東戦争に端を発した第1次石油危機の混乱の中で、米国は同年12月「エネルギー行動グループ」構想を発表し、翌年1月、石油消費国会議の開催を提唱した。
1974年2月、13カ国の参加の下にワシントンで開かれた会議では、「エネルギー問題解決のためには、国際的協力が不可欠であり、産油国との十分な協議が必要である」との点で各国の一致した基本認識が得られ、会議のフォローアップのための具体的な消費国間協力の場として、エネルギー調整グループ(ECG)の設置が決定された。
第1回EGGでは、ワシントン会議のコミュニケにおいて提起された諸問題を、OECD、ECG、IMF等の機関に振り分けて検討していくことを決定した。その後、各機関において検討が進められ、最終的に「国際エネルギー計画」(IEP:International Energy Program)がとりまとめられた。
こうして、1974年11月OECD理事会決定により、IEPの実施機関として国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)が設立され、これと軌を一にしてIEP協定が締結された。IEAは、OECD内に設立された外局機関で、パリに本部を置く。その活動内容は、エネルギー問題解決のための先進国の国際協力の推進であり、具体的には、
1]石油備蓄の推進、緊急時における石油供給安定策の実施
2]省エネルギー及び石油代替エネルギー開発等による石油輸入依存度の低減に関する協力
3]国際的なエネルギー需要動向の分析等
であり、また近年の環境問題に関する議論の高まりに対応し、エネルギー面からの環境対策も重要な検討課題となっている。
2 IEA加盟国
OECD加盟国29カ国の中でアイスランド、メキシコ、ポーランド、チェコ共和国、韓国を除く24カ国が、現在IEAに加盟している(1999年3月現在)。
1.オーストラリア
2.オーストリア
3.ベルギー
4.カナダ
5.デンマーク
6.フィンランド
7.フランス
8.ドイツ
9.ギリシャ
10.アイルランド
11.イタリア
12.日本
13.ルクセンブルグ
14.オランダ
15.ニュージーランド
16.ノルウェー(*)
17.ポルトガル
18.スペイン
19.スウェーデン
20.スイス
21.トルコ
22.英国
23.米国
24.ハンガリー
計 24カ国
注(*)準加盟国(IEP協定第1章から第4章に関する事項についての票決権を有しない。)