10 粒径分布と液状化特性の関係について言えば、粗い物質は液状化しないことは良く知られている。物質の液状化の可能性を粒径分布を指標として判定するには、粒径分布の代表値を選定する必要がある。液状化現象は排水の特性(水分の移動)と深い関係を有するため、有効径D10を粒径加積曲線の代表値として選ぶのは合理的である。厳密に言えば、排水特性はカナダが指摘した通り他のパラメータ、例えば間隙比に大きな影響を及ぼす均等係数にも関係する。しかし、有効径を指標とする評価のためのクライテリアが充分な安全余裕を見込んでいることを考慮すれば、粒径分布を指標とする判断に均等係数を導入する必要はない。
11 LPTについて言えば、BC Code D.1.3に記載されているプロクター/ファガベリ法の原理が試験に導入された。プロクター/ファガベリ法は石炭その他の多孔質の物質には適用できないため、LPTは石炭には適用できない。LPTでは、試料は飽和状態にされ、飽和した試料中の水は排出される。試料の液状化可能性は、排水後の飽和度を指標として判定される。
12 厳密に言えば、液状化の特性は排水後の飽和度だけによって議論することはできない。一方、LPTは液状化物質に関する要件の実施のための補足的試験法であり、また、液状化可能性判定の総合的手法は、単なるガイドラインとして提案されている。LPTの扱う範囲と位置付けを考慮すれば、固体ばら積み物質の液状化の特性について詳細に議論することは重要ではない。プロクター/ファガベリ法をBC Codeに取り入れる議論(BC 32まで)の際に、水分値のクライテリア、即ちTMLは、飽和度に基づいて決定できることが認識された。LPTとプロクター/ファガベリ法は、同一の原理に基づいている。LPTは、排水後の飽和度を指標として、物質が液状化に結びつく高い末分値を含むことができるか否かを判定するためのものである。
ケーススタディー
13 LPT開発のための研究では、石炭以外の二つの物質、即ち粒状のニッケルスラグと粒状のカッパースラグを用いて実験が行われた。これらの物質は長年運送され液状化は報告されていなかったことから、到着状態における(粒径調製を行っていない)これらの物質は、液状化物質ではないと経験的に判断された。到着状態におけるこれらの物質に関するLPTの結果は、この経験的判断と一致した。さらに、粒径調製を行った物質に関するLPTの結果は、こうした物質であっても、粒径分布が細かくなれば液状化する恐れがあることを示した。ポーランドも沈殿ガレナ精鉱についてLPTを実施し、その結果は、経験的判断と一致している。これらのLPTに関する経験は、ケーススタディーと見なせる。LPTを改良するため、各国にケーススタディーの実施を求める。
小委員会に要請される行動
14 小委員会は、液状化物質に関する要件の適用範囲の問題を認識し、この文書を基礎として適切な行動をとるよう要請されている。
付録(略):本報告書付録3に原文添付
DSC 4/5/6(ICHCA:国際荷役調整協会):石炭貨物の自己発熱の早期探知のための一酸化炭素監視及び化学的危険性表の評価のための他の有毒ガスを発生する貨物の情報管理
概要: 船長は化学的爆発の危険性の程度を判断することを要求される。BC Codeの付録Gは、石炭貨物のガス監視の方法を含む。化学的危険性表(Table of Chemical Fazards)は、各種固体ばら積み物質の火災及び健康の危険性に関する物理的性質を示す。表から得られるデータは爆発危険性の制御のための排気通風量の推定に用いることができる。
1 化学的危険性表の主題は安全であり、表を通しての目的は事故の防止である。事故の防止は基本的目的として人命の損失の防止を含み、副次的な目的は船舶の損傷及び重大な事故の防止である。
2 付録に示す化学的危険性表の目的は、BC Codeの付録Bに記載されているばら積み物質の火災及び健康の危険性に係る物理的性質を示すことである。
3 そしてまた、この表を作ることは、ばら積み海上運送貨物の作業環境において遭遇する化学的埃、ガス、蒸気及び固体について馴染みを増す手段を与える。
4 表には、化学的危険性を有する特定のばら積み物質の安全な取り扱いについてより多くの情報を得ようとしている船長への助けとして、化学的安全関係の出版物に関する情報が含まれる。
5 1997年に約7億4700万トンの石炭が、上位10の輸出国から上位15の輸入国に輸出された。これは1997年の市場の95.6%を占める。これは、石炭貨物を輸送する船舶の航海における監視記録データを見直し、BC Codeの付録B及び「表」に示される可燃性/爆発性限界を確認または変更するのに、大きな値であろう。
6 ログに記載された計測の総合的記録は、創造的な行為のための機会を与えていると見なすことができる。将来の監視活動のためには、新しい方法及び手順が必要であろう。
小委員会に要請される行動
7 小委員会は以上の情報に留意し、適切に行動されたい。