8 飽和度は次の式で計算した。(式は省略)
9 D10は通過重量百分率が10%となる粒径である。浮遊方鉛鉱、沈殿方鉛鉱及び銅精鉱の元の試料に関する試験結果は、表1及び表2に示されている。これらの元の精鉱試料は0.3mmまたは1.2mmの篩により篩分けされ、人工的な二つの試料が用意された。これによって10の試料が得られた。(試料の説明は略)これらの精鉱試料も同様に試験された。結果は表1及び表2に示されている。表1には、有効径、限界並びに許容水分値、排水前並びに排水後の飽和度及び有効径並びに排水後の飽和度に基づく液状化可能性の判定が示されている。表2には、比重、締め固め乾燥比重量、間隙比及び湿った締め固めた試料の排水前並びに排水後の飽和度が示されている。
結論
10 実験結果は、我が国の波状化物質判別試験はエネルギーレベルをProctor C/Fagerberg法に合わせれば、液状化の発生を判定するための信頼できる試験法として支持できることを示している。試験結果からは、以下の精鉱試料では液状化が発生しない。(試料説明は略)これらの試料の有効径は、0.52,0.16,0.85,0.42mmであった。実験から得られる別の結論として、有効径が0.2mm以上であってもフローテーブル法による流動水分値の決定が実施できる場合があると言える。精鉱の場合、有効径が0.4mmを超えると液状化しないと考えられる。現時点では、フローテーブル法の良い試験は有効径0.2mm未満に限られ、液状化は有効径0.3mm未満で発生すると考えられる。
小委員会に要請される行動
11 小委員会は以上の情報に留意し、液状化可能性の計測方法のBC Codeへの取り入れについて検討されたい。
DSC 4/5/5(日本):固体ばら積み物質の液状化判定に関する新評価法
背景及び新手法の必要性
1 1994年1月1日より、SOLAS条約第VI章第6規則により、精鉱その他の航海中に液状化する恐れのある物質は、水分値が運送許容水分値(TML)より低い場合にのみ船積みできることとなった。我が国は、この国際規則に呼応して国内法を改正した。
2 国内法の改正の検討において、要件の適用範囲を議論し、この要件を適用する物質の名称を列挙した。運送の安全の観点からは、液状化が疑われる多くの物質に要件を適用するのが妥当である。しかし、こうした安全側の要件の適用の仕方は、しばしば、要件の広い適用が液状化の恐れの無い物質の運送にまで影響を及ぼすという問題の原因となる。そのため、要件を適用する物質のリストが広い範囲を含むことは大きな問題となり得る旨、荷送り人より強調された。
3 この問題は、「液状化物質」の定義の不明確さに起因している。一般に、「液状化物質」は、BC Codeの付録Aに集録されている物質である。しかし、この付録そのものに述べられている通り、このリストは全ての物質を示したものではない。多くの産業が新たな物質を生産し続けていることを考慮すれば、(液状化物質の)定義を明確にする必要がある。別の表現を用いれば、液状化物質を決定する手法が開発されなければならない。
新手法の開発
4 上記の理由により、我が国は固体ばら積みの液状化可能性を評価する辛法の開発の必要性を認識した。そして、研究が実施され、手法は開発された。研究成果はDSC 2/12/1の中で報告されている。
5 我々は、要件の適用範囲に関する問題はIMO加盟各国に共通であると考えた。そして、小委員会の第2回会合においてこの手法を公開するとともに、この手法MSC/Circ.として利用することを提案した。我々は、この手法を用いることは、海事の安全に貢献するものと考える。
6 この手法は、TMLを決定するためのものでは点に留意されたい。この手法は、液状化物質に関する要件の実施のための補足的なものである。この手法は、荷送り人又は船長が、水分値が高いと貨物が液状化するのではないかとの疑念を抱いた場合にのみ用いられる。
手法に関する審議
7 この手法は、小委員会の前回会合において審議された。固体ばら積み物質の液状化可能性を決定する新たな試験法として提案された(DSC 2/11/2)液状化物質判別試験(LPT)を沈殿ガレナ精鉱について実施し、ポーランドは試験法の有効性を認めた(DSC 3/11/2)。さらに、彼らは試験の締め固めにおけるハンマーの落下回数を改正すべきことを指摘した。我々はポーランドの指摘に賛成であり、試験法の案の中の締め固め方法を修正した。
8 カナダは幾つかの表現の問題を指摘した(DSC 3/11/5)。これらの指摘に基づき、試験法の案を修正した。試験法の原理は、再度この文書で説明されている。修正したMSC/Circ.案は、この文書の付録にある。
手法の原理
9 総合的な手法は、二つの判定によっている。一つは、試料の粒径分布を指標として用いるものであり、もう一方、即ちはLPTは、排水後の飽和度を指標として用いる。