日本財団 図書館


(2) モールド

モールドは、土の突き固めによる締め固め試験(JIS A1201等)に用いられるものと同様に、鋼製の円筒で、モールドの上部に着脱可能なカラーを取り付けられるものが必要である。3.5節で述べた通り、円錐の底面の直径が約2.9mmであることを考慮すれば、モールドの直径は15cm以上が望ましい。深さは、円錐の底面を10cm試料に貫入させることから、円錐先端の貫入量を考慮して、20cm程度が妥当と考える。

我が国で最も一般的に用いられる土の突き固め試験用のモールドには、内径10cm、容量1,000cm3(高さ約12.7cm)のものと、内径15cm、容量2,209cm3(高さ12.5cm)のもの、いわゆるCBRモールドがある。いずれのモールドも高さ(深さ)が不足するため、荷崩れ評価試験には用いることができない。

荷崩れ評価試験用のモールドでは、中の試料を除去し易いことも重要であり、今後設計の際に考慮する。

(3) ランマー

我が国で最も一般的に用いられる土の突き固め試験用のランマーには、質量2.5kg、落下高さ30cmのものと、質量4.5kg、落下高さ45cmのものがある。荷崩れ評価試験では、このうち前者のランマーを用いれば良い。

(4) 篩及び治具

粒径調製のため、呼び径19mmの篩を用いる。

本年度の荷役現場での実験において、篩を用いずに手作業で粒径19mm以上と思われる塊を除去する作業も行ってみた。その結果、本実験の担当者が実施した場合には、篩を用いるよりも素早く粒径19mm以上の塊を除去できるとの感触を得た。また、篩を用いないで粒径調製を行った場合、試料の最大粒径は小さくなるとの感触を得た。最大粒径が19mmより小さい試料で円錐貫入試験を行うことは、安全側であり、「貨物を船積みできる」との判断には役立つが、「貨物を船積みできない」という判断を下すには問題がある。

基本的には、最大粒径の調製には篩を用いるべきである。

本年度の荷役現場での実験においては、篩とともに、これを設置するアルミのアングルで構成された治具を用いた。一方、日向精錬所における実験では、樹脂製のコンテナを積み重ねた上に篩を乗せて篩い分けを行ったが、作業性は良好であった。湿った試料、即ち粘着力の高い試料を押し通すため、作業の容易な高さに篩を安定な状態で設置することも重要である。

(5) その他の器具

試料を取り扱うためにはスコップが必要であり、モールドのカラーを外した状態でモールドの上面に沿って試料を切り取るにはストレートエッジ(金属の板)が必要である。また、モールド内の試料を除去するためには、丈夫な鏝等も便利である。必要な器材については、次年度にまとめる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION