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日本は、オーストラリアの提案のうち、一定以上の量の貨物を用いて締め固めを行わずに密度を計測するという基本的考え方は支持し、MSC/Circularとしては簡潔なものにすることが望ましい旨を述べた。スウェーデン、ブラジル、ギリシャはオーストラリアの提案を支持した。カナダの提案に対してノルウェーはISOに言及した。オーストラリアの提案に対して、オランダは計測の間隔が長すぎる旨を述べた。

結果、オーストラリアの提案を基礎としてMSC/Circularを作成することなり、この事項はWGにおいて最優先で審議されることとなった。

(ハ) WGにおける議論

オーストラリアの案を基礎として、密度の計測法に関するMSC/Circular案が検討された。

日本は、一部の粘着性物質では、試料を大型の容器(ドラム缶やトラックの荷台のイメージ)の上面に沿って入れる、即ち試料の体積を容器の容積に合わせることが難しい場合があることを指摘し、容器内の試料の体積を計測すれば良いことにしてはどうかとの意見を述べたが、採用されなかった。また、容器の容積は立法メートルの倍数とすべきとの記述は削除するよう求めたところ、オーストラリアは、容器の容積はきりの良い数値(0.5, 0.7 m3等)にすることに拘ったが、容器の容積に関する規定は、「充分に大きなものとする」こと以外には設けないこととなった。また、オーストラリアの案には、容器や重量計の検査の規定があったが、密度計測を行った容器等を検査のため保管するのは負担になること、計測の精度が問題となる貨物の密度はAccredited Testing Organizationにより確認されることを指摘し、容器等の検査に関する規定を削除することを求めたところ、日本の意見が採用された。

MSC/Circular案には密度の定義を含めることとなり、ISO等の試験法における定義は採用されず、密度は空隙(空気や水)を含む試料の「重量/体積」として定義するとの意見が大勢を占めた。日本は、密度は「質量/体積」である旨を指摘したが、受け入れられなかった。

韓国の意見により、 記録の標準書式が添付されることとなった。

MSC/Circular案における密度計測法の位置付けについても検討がなされ、「この方法を用いれば、SOLAS条約第XII章第10規則で要求される密度として認められる」という表現になった。これは、他の計測法を排除するものでは無いことを意味する。また、 MSC/Circular 案の表題は "Uniform Method" であって "Unified Method"、いわゆる統一的な試験法では無いことに留意されたい。

なお、密度計測の間隔については議論がなされなかった。

 

 

 

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