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5)抵抗が多少とも少ないのは、年金受給者で他にも収入源のある者に対して、その収人はこれまで保険料負担義務として加算されなかった収入であるから、その収入を保険料負担の算定枠内に入れるなりその分についての対処を求める、という意見もある。しかし、現実には、その対象となる者は数少ない年金受給者であり、その幾つかの財源を見極めるのは難しく、厳密な調査はプライバシーや銀行の秘密主義もかかわって容易ではない。そして特に反対が大きいのは、こうした追求によって多くの高齢者の預金の取り崩しが起きることが心配されるからである。

6)さらに、配偶者の無料保険加入を限定するか廃止せよとの提案もある。しかし、これには税法にもある家族負担調整(Famllienlastenausgleich)等の改正や社会単位としての「家族の形成」にかかわることで課題は大きく広がる。

7)最近では過去の提案となりつつあるが、使用者側の保険料負担を「労働」という要素のみではなく、「資本」という要素をも加味して、その投資額をベースに、いわゆる「機械保険料」(Maschinenbeitrag)として支払え、というのがあった。しかし、労働にかかわる他の社会負担に悩むドイツの経済界とそれを支持する政党はこれを認めることはできなかった。

8)合理化により、現存する潜在力を使い尽くすことで公的医療保険の支出を押さえることも講じられた。可能性としては、医療サービスを行う組織の改善と構造改革によって費用を軽減できるものと考えられ、医療運営体である病院、リハビリ施設、医師、薬剤会社、そして補助具などの製造業等が対象とされた。この中でも特に病院のリストラが最も注目された。そして実際に、患者の病院滞在期間を短縮するさまざまな改善も進んだ。殊に介護保険の導入によって、患者を早く医療療保険から介護保険の対象にすることが可能になったことで、病院の費用緩和策は大きく進んだと言えよう。しかし、未だに多くの病院のマネジメントは極めて非効率的であると言われ、国営企業のように効率計算ににぶいとの評価もある。

9)国自らの対策としては、この数年間、連邦保健省は医師、特に歯科医師への支払をより厳しく監督しようとしてきている。手術、例えば白内障治療に要する経費の上限を決定したり、医師の開業基準を限定する対策を講じたりしている。しかし、これらの対策は多くの場合、短期間しか有効ではなかった。医師会は重度なる交渉において上限を持ち上げることに成功したからである。

10)国の医療費軽減策の中で重要な意味があったと思われるのは、国が薬剤支出にブレーキをかけたことであろう。第三の保健改革が1997年に実施されたが、この中で医師は薬剤の処方を書く場合、市場で供給されている一番安価な薬剤を指名するよう指示されている。

 

 

 

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