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医療費はさらに加算される。また、とくに近年は、人工の股関節、心臓先導器などの移植等も行われ、それに加えて、車椅子、補聴器は長寿に従って何回も再供給されなければならない(Handelsblatt,1998.)。高齢に伴う手術で最も多いのが白内障で、毎年400,000ケースもあると伝えられるが、これも増加する傾向にある(Handelsb-latt,1998.)。

公的医療の保険料率は2030年までには0.3%増になるものと推定されているが、これはあくまでも給付が現状の枠内にとどまればという前提であって(Breyer参照)、急速な医療技術の発展、高齢化の推移によっては、それ以上の増加になろう。

こうした公的医療費について、その保険制度を是正しようとする対策提案を以下に紹介してみたい。 とくに最近の改革案の焦点となっているのは、だいたい医療保険収入の増加、合理化による効率化(潜在能力)の発掘、そして、給付の縮小またはその合理化、についてである。

 

3.2 制度改革をめぐって

 

1)財政的に最も容易な解決は、保険料率を上昇させることになる。医師会は「健康」という水準も治療も漸次向上していくことから、高くつくのはやむをえないと考える。また、反対するのは被用者というよりは、むしろ使用者の側で、彼らは、ドイツの賃金と社会給付額はすでに世界一の水準であり、これ以上の社会保険料の負担になれば、企業の国際競争に不利になると考える。(介護保険の導入に際しても、国民祝日を一日削るという「軽減処置」(K-ompensation)をとることとなった)。

2)ある種の企業代表、CDU(キリスト教民主盟党)や医師会のあるグループは、使用者側の保険料率をそののままにして、労働者側の料率のみを上昇させる提案もしている。労働組令と左系のグループは、これを労使折半の原則の侵害だと反対している(Handelsblatt,1998。)。

3)緑の党は現在保険料算定限度の6,150マルク(旧西ドイツ)の引き上げを提案する。それに対する反対意見としては、国民のより多くの人々が国家によって監視されることとなり、 これは目指してきたリベラルな社会の目標に逆行するとともに、自由に選択できる民間保険を利用する余力が減ってしまうというのである。

4)公的年金保険制度の改革においても言われる意見で、国民すべてを公的医療保険に加入させるべきという提案がある。しかし、それは公的保険から生じる財政問題の根本的な解決にはならないと言われている。

 

 

 

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