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1992年年金改正法では早期退職年金を2001年から段階的に廃止することになっていた。2017年末には原則65歳支給となり、代わりに62歳からの繰上げ受給が認められるはずであった(減額つき。減額率は繰上げ1ヶ月につき0.3%である。62歳受給開始者は10.8%減額つきとなる)。

1996年に決められた早期退職年金の改革内容は次のとおりである。すなわち支給開始年齢を1997年1月から3ヶ年の経過措置つきで原則63歳とする一方、60歳からの繰上げ受給を認める。繰上げ受給は減額つきであり、3年繰り上げて60歳から受給する場合には10.8%減額する(1ヶ月につき0.3%減額)。1996年の改革はこの1992年年金改正法の内容を部分的に修正したことになる。すなわち早期退職年金に限って原則63歳支給とする。ただし調整開始を4年前倒しし、調整スピードも加速させることにしたのである(受給開始年齢を毎月1ヶ月ずつ引き上げる)。

あわせて女性の年金(現行では60歳受給開始となっている)についても受給開始年齢引き上げを1年前倒しして2000年1月にスタートさせ、2009年末までに65歳受給とすることにした(1992年年金法では2017年末に完了させる予定だった)。調整スピードは女性の受給開始年齢引き上げについても速められたのである。

また長期被保険者(35年以上加入者)についても原則63歳受給開始を2000年1月から徐々に調整し、2003年末には原則65歳受給開始とすることにした(1992年年金法では2001年1月調整開始、2008年末に調整修了となっていた)。

 

1.3 ドイツの1999年年金改革法案

 

ドイツでも公的年金は若者に不人気である。その若者たちをどう納得させるか。また世界規模の激しい経済競争にも対応していかざるを得ない。公的年金の保険料率を過度に高めることは、この二つの観点からみて得策ではない。

年金受給期間も平均余命の伸長によって長くなっている。今後とも平均余命はさらに伸びる。それに伴って必要となる年金負担を、これまでどおり、すべて現役世代に担わせてよいのか。この点も改めて検討する必要がある。

上述のような問題意識に基づいて1996年7月5日に年金改革委員会が連邦政府により設置された。年金改革委員会は10回の会合を経て1997年1月27日に年金改革に関する新提案をとりまとめた。その主要内容は以下のとおりである。

まず改革の基本線は次の四つである。すなわち1]年金給付と年金保険料負担(賃金)との関連性を今後とも維持する(税を財源とする基礎年金への一部切りかえはしない)。

 

 

 

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