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高齢者ケアと痴呆症ケアは、国が今後も特別助成金によって地方自治体の事業を援助することは確かである。また、エーデル改革の主な意図がそうであったように、高齢者医療を救急医療資源から分離することによって、合理的・効率的な資源の計画と利用が可能である。的確な資源利用の前提をなすのが、総合的な痴呆症診断による正確なニーズ把握であるといえる。今日、スウェーデンでは年間約1万5,000人が痴呆症診断を受けている(Frediriksson・1998)。しかし、必ずしも十分な痴呆症診断が実施されていないという反省から、ニィブロ・コミューンに次いでカルマル・コミューンがプライマリーケア(県コミューン)と社会福祉サービス(コミューン)の共同事業として実態把握調査に踏み切ったのが1996/97年であった。この調査を基に、各地域において総合的な痴呆症診断が実施され、ケア計画が立てられていった。平行して行なわれたのが、地域看護婦やホームヘルパーなどの高齢者関係の専門職員に対する痴呆症ケアの教育・研修であった。

カルマル・モデルの特徴は、医療と福祉の行政の垣根を超えて、ひとりひとりの(痴呆性)高齢者のニーズから出発した、いわゆる統合・総合的なケアとマネージメントを制度化していることである。コーディネーターとしてモデルの中心的存在を果たしているのが、スウェーデンで「痴呆症看護婦」あるいは「痴呆症コンサルタント」と呼ばれる専門職である。カルマル・モデルの内容紹介とともに、「痴呆症看護婦」の任務に関する紹介も行ないたい。カルマル・モデルは、日本の地方自治体が痴呆性高齢者ケアを発展させるにあたって、さまざまな示唆を与える実践であるように思われる。

(2) 対象グループと目標

対象グループ:

自宅に暮らす痴呆性高齢者

目標:

1. カルマル・プライマリーケア地域において、痴呆症者に対する共通の診断モデルを導入する。診断モデルは、最も生活に身近いがために、最良の結果を与えるプライマリーケアにおいて機能するものでなければならない。

2. 早期発見。

3. 痴呆性高齢者に対する、住み慣れた生活環境(自宅)での生活保障

4. 家族への支援強化

5. 継続的なケア計画-医療と福祉サービスの統合

 

 

 

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