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これらの不均衡は、80年代後半に入ってより一層強められたといえる(図6)。緩やかな生産性の上昇率に対して、賃金の上昇率は著しい発展を示し、その結果インフレーションを高めることになっていった(図7)。これらの否定的な要因が重なりあって、1981年と1982年のスウェーデン・クローネの貨幣切り下げを必然としていったといえる。このことは、結果的には折からの好景気と重なって、スウェーデン経済を好転させ活気を与えていった。

しかし、90年代に入ると国際的な経済不況とともに、再びスウェーデン経済は危機状態に陥り、91年に交替した保守連立政権もそれほど危機打開に成功しないままに、92年の秋に入って一層深刻な状況を迎えた。まず、フィンランドがフィンランド・マルクの貨幣切り下げを行い、その余波をうけてスウェーデン・クローネの大量流出が起こった。この緊急事態に対して、史上未聞といわれる超党派による経済危機打開政策が打ち出されるに至ったが、その後実質的に10%の貨幣切り下げを余儀なくされた。構造的な財政赤字を克服するというのが、この経済危機打開政策の目的とするところで、次々に出されたクライシス・ボックスの内容は1993年から1997年の間に、国家支出を400.6億クローネ減らすというものである。国家財政の赤字は1,950億クローネで、その内構造的赤字は500億クローネに達するといわれた。

90年代初めに実施されたスウェーデン経済の構造的改革の主な内容は、税制改革

 

図7 スウェーデンとOECDのインフレーション比較(1970-1997)

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