スウェーデン人は、ゲルマン民族の分流である北方ゲルマン族であり、他人種との混血が少ないため、もっとも純粋な北ヨーロッパ人といえる。言語はスウェーデン語で、北方ゲルマン語系に属し、ノルウェー語、デンマーク語と非常に近い。
8世紀から10世紀にかけ、交易活動に貢献したバイキングによって、スウェーデンはその存在をヨーロッパに知られていった。その後国内統一は徐々に進み、1523年にデンマークの圧政から独立を確立した。キリスト教が伝来したのは800年代でカトリック教であったが、1536年初代国王グスタフ・バーサによってルーテル派の新教に国教が制定され、今日に至っている。しかし、1951年の宗教法によってどの宗教に属するかは個人の自由となり、教会の権力は大きくない。戦後の移民や難民による外国人籍者の増加が、カトリック教、東方正教会、イスラム教、仏教などの他の宗教流入をスウェーデン社会にもたらしたことも事実である。
2. 人口と世帯構成の変化
スウェーデンにおいても、ここ10年から20年の間に急速な人口構造の変革が予想される。したがって人口ピラミッドも大きく変わってくるであろう(図2)。スウェーデンは他の先進諸国よりも一足先に高齢化社会を迎えており、65齢以上の高齢者人口は50年代に既に10パーセントを上回っていた。現在、65齢以上の高齢者人口は約18パーセントに達し世界最高であるが、動向としては急上昇する日本の事情とは異なり、2000年までは停滞を辿る(表1)。しかし、2025年になると高齢者人口は再び増加し、5人に1人が65歳以上になることが予測される。さらに、90年代後半65-79歳の高齢者人口は減少する傾向にあったが、80歳以上の超(後期)高齢者人口は2000年までに約25%増加することが指摘されている。また、2000年には80歳以上の高齢者人口は65歳以上の高齢者全人口の30%を占めることになる(91年では24%)。
1900年代の人口増加の主な原因は、移民(主に難民)増加の他にすべての年齢グループにおける死亡率の減少によって平均寿命が延びたことにある。今世紀初めの平均寿命は、女性55歳、男性53歳であったが、95年では女性81歳、男性76歳に達している(SCB・1997)。このことはまた、女性高齢者の単身世帯を増加させる背景をつくり、80歳以上の女性の半数近くが単身世帯になってきている(図3)。一方、ここ20年の間に65歳で年金者生活に入っていく人たちの、健康状態や教育レベルは、今まで以上に良くなってきていることも確かである。多くの高齢者の経済的条件が大幅に改善されたことも明らかである。これらの要因の変化はまた、これから高齢者になる人たちの新しいニーズに、社会が今までと違った形で対応していかなければならないことも意味する。