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我が国の長期介護資源問題の分析によって明らかなように、これらの問題の主な原因は、政府は需要者の立場に立たずに、資源配分を計画することにあるといえる。例えば、ニーズの存在を即時に追究しない、国民の望んだサービス方式を理解しない、国民がサービスを利用するときの支払う能力を測らないなどである。これからの発展方向を施設からコミュニティのほうへ移転し、完備されたサービス体系の構築を具体化する;できるだけ施設の設置基準を迅速に検討し、安全と衛生との原則をもって緩和する;複合型施設の創設によって、施設の過度な階層によるサービスの分割問題を解消するなどによって、高齢者が自由にサービスを選択できる権利が保障され、完備された連続的なサービスの獲得が増進できよう。

 

(3)長期介護の財源

財政保有についてきちんとした計画がなければ、高齢者の扶養・介護問題の障害が排除できるとはいえない。財政問題が解決されていないから、国民が独自に介護・ケアの負担を負っている。サービスが購買できないから無認可の施設を利用するようになり、その発展を促進させるといえる。また、国民のなかに国民皆保険をできるだけ利用して、支払いの責任を逃避する人もいる。このことは社会的入院の問題を助成させ(1995年台北市における病院調査によると、15%に近い入院患者は社会的入院である)、また高価な医療資源の浪費によって、医療経費の支払いに影響を与えた。以上のように、支払い制度が制定されていないため、長期介護資源の正常的な発展もできず、コストと品質管理・督促する仕組も構築できない。

 

(4)組織管理

長期介護の業務は社会福祉及び医療衛生の二大系統に分けられ、運営されていることは長期介護のもっとも大きな問題点である。このことによって結局資源が統合的運用できず、管理についても一致できない状態になってしまう。これらの問題を改善するため、 2つの系統を1つにして、業務を同一機関に集中すべきである。社会福祉と医療衛生の分立問題を解決するため、厚生省の成立は期待できよう。ただし、成立時間についてはまだ未知数であるから、今のところ、各種類の施設サービスを1つの機関に所管させることによって、組織の健全的発展と管理制度の有効的制定が求められる。医療衛生体系にしても、社会福祉体系にしても、関連分野の学者と行政側の専門家を招いて再議論すべきである。

 

 

 

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