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若干小さかった。前期高齢者ではサービスの利用状況にグループ間で大きな差はみられなかったが、後期高齢者では転出者のサービス利用率、特に入所サービスの利用率が顕著に高かった。したがって転出者は他の者と比較して、移動後に特別養護老人ホーム等に入所している傾向があり、特に女性、後期高齢者でその傾向が顕著であることが示された。

表2-16に、移動後の福祉サービス利用の状況と健康状態との関連を示した。老研式活動能力指標との関連をみると、いずれの者も、利用していない者の得点が高かったが、在宅福祉のみを利用している者と入所している者との差はほとんどみられなかった。利用状況別にグループ間比較すると、転入者の方が在宅福祉のみを利用している者の得点が低く、市内転居者の方が入所している者の得点が高かった。

 

表2-16 移動後の福祉サービス利用の状況と健康状態との関連

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介助の必要度との関連をみると、いずれの者も、利用していない者の得点が低かったが、在宅福祉のみを利用している者と入所している者との差はほとんどみられなかった。利用状況別にグループ間比較すると、転入者の方が在宅福祉のみを利用している者の得点が高く、市内転居者の方が入所している者の得点が低く、老研式活動能力指標と同様の傾向がみられた。したがって転入者は在宅福祉サービスを利用している者の日常生活能力が低く、市内転居者は入所している者の日常生活能力が高いことが示された。このことは、介護ニーズが同じであったとしても、他の自治体から移動してきた高齢者の方が、特別養護老人ホームなどに入所できず、在宅で福祉サービスを受けながら生活している傾向があることを示唆している。全般的に入所サービスは不足している状況にあり、入所までにはある程度の待ち時間が必要となる。他の自治体から転入した転入者は、同じ自治体に居住している市内転居者よりも入所申請が遅くなってしまうため、状態が悪くても入所までの待ち行列に並ぶ必要がある。

 

 

 

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