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第1章 調査の目的とその概要

 

1. 調査の目的

 

当センターではこれまで、政令指定都市を中心に、増加傾向をみせる高齢者の居住移動実態調査研究を進めてきた。その結果、人口約100万人から300万人という巨大な大都市における高齢者の居住移動実態について、貴重な調査分析を積み重ねてきた。

この分析経験を踏まえ、より身近な規模の都市をフィールドとして、高齢者の居住移動実態を調査分析すべく、千葉県市川市の協力を得て、本調査研究を実施したものである。

市川市は人口約45万人の都市である。高齢化社会施策で全国的に有名な東京都江戸川区ならびに、全国の自治体で最も高齢化率が低い千葉県浦安市の両市と隣り合った市であり、より良い福祉サービスを求めて、今後活発化していくとみられる高齢者の居住移動を調査分析するのに適した都市と考えられる。

市内の都市構造をみても、市の中央部は旧市街地として高齢化率が高く、南部は埋め立て地に集合住宅が並ぶ高齢化率の低い地区、北部は開発は進んでいるものの旧農村部である等、市域が多層的に展開している点が特徴と言える。

後述するように、昨今の市人口の推移をみると、ほとんど市人口は増加をみせていない。総人口が停滞した中で高齢化が進行するという、近い将来の全国的傾向に先駆けた人口動向上の特徴を市川市は有している。

当「市川市高齢者移動実態調査」は、当市の顕在化する高齢移動者の移動形態、移動者の健康・家族状況、移動理由等について調査し、高齢者移動の実態を把握し、とともに今後の高齢者対策の基礎資料とするものである。

 

2. 調査の実施概要

 

ア. 調査対象

平成9(1997)年7月1日から平成10(1998)年6月30日の間に市に転入、転出及び市内で居住移動したそれぞれ65歳以上の高齢者の全員(個人)を調査対象とした。

 

 

 

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