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市内の都市構造をみても、市の中央部は旧市街地として高齢化率が高く、南部は埋め立て地に集合住宅が並ぶ高齢化率の低い地区、北部は開発が進んでいるものの旧農村部である等、市域が多層的に展開している点が特徴と言える。

また、昨今の市人口の推移をみると、ほとんど市人口は増加をみせていない。総人口が停滞した中で高齢化が進行するという、近い将来の全国的傾向に先駆けた人口動向上の特徴を市川市は有している。

今回の市川市調査についてみると、(1)高齢移動者数の転入、転出、市内転居は3:5:3の割合である。(2)高齢移動者数全体の男女比は、ほぼ1:2である。高齢移動者の年齢別では前期・後期高齢者の割合は、男女とも2:3である。(3)全高齢移動者の有配偶率は約4割。但し、転入した女性の後期高齢者はその9割が単身である。移動後の家族(世帯)規模は、前と変わらなかった人は約半数。子どもと一緒になった等で規模が拡大した人は、転出者の後期高齢者が約2割であるほかは転入、転出の前期、市内転居とも約1割であった。(4)転居前に持ち家を所有していた人の転入では約2割、転出、市内転居では各1割が転居時以来、持ち家を空き家にしている。(5)移動理由としては、家族との同居、近居、自分の身体の弱化が大きく挙げられている。(6)再移動の意向については、「できれば住み続けたい」が7割を占めた。

これらの調査研究は都市におけるものではあるが、都市に限らず、高齢者移動が地域社会にとって極めて重要な意味を持つことは理解されよう。この調査は、すでに社会の実状に照らして、マスコミ等の社会的関心を集め始めている。がしかし、肝腎な地方自治体関係者等の認識は未だ高いとは言えない状況である。

 

エイジング総合研究センター「高齢人口移動調査研究委員会」

 

 

 

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