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(5) 追波を受けての航行

 追波は、激しいピッチング(縦揺れ)・ローリング(横揺れ)から解放され、ある程度の船速も維持出来る事から、多くの小型船舶が危機感を持たず、追波航行が安全だとの感覚を持っているようです。
 今までの無事故で追波の中を航行出来たのは、自船の能力と船長の操船技術が優っていたのか、あるいは偶然の幸運が続いたのかも知れません。
 追波は、波頂で船体を不安定な状態とし、波の下り面においてサーフィン状態(滑走)となり舵効を失います。又、斜め追波は、ブローチングが発生し、一瞬のうちに転覆する等、非常に危険な要素を持っております。
 追波航行は斜め追波を受け、波の上り斜面で波速に合わせ増速し、常に上り斜面を航行するように心掛けます。波速が船速より早い場合は、追いつかれた斜面で減速し、波をやり過ごすのが、追波航行の基本です。

●ブローチング

 現象ブローチング現象とは、荒天の海域を斜め追波を受け航行中、波の下り斜面で、舵効より大きな波の力で、船体が急激に波と平行になるように、傾斜しながら滑るように回頭する現象で、発生後の操舵による船体の立て直しは不可能にちかく、時には、船体傾斜と海水等の打ち込みで一瞬のうちに転覆する危険性が大である。

ブローチング発生の条件

船尾約20度〜40度の範囲内に追波を受け、
船速が波速より遅めの時、発生確率が高い。

 

 

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