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体育科学センター第12回公開講演会講演要旨/幼児の精神的発達と運動

5.各種運動遊戯が幼児の心理的発達に及ぼす影響
 本センターのプロジェクトの1つで,カリキュラム委員会が全国規模で幼稚園のベテラン教師を対象として行った遊びについてのアンケート調査がある.
 その結果,総数363種類の遊び1つ1つについて,その遊びが幼児の心理的発達にどのように影響(効果)すると考えているかは,以下の通りである.表6はその部分的例示である.
 知的な面でいえば,遊びの中で創意工夫が行われる可能性の高いもの,的確な状況判断の要求されるものがよいが,それにはドッジボールやサッカーごっこのような手具を操作しながら,ゲームとして行う遊びが効果的であると見られている.また,特定の遊具を必要としない鬼ごっこの類でも,幾つかの変化形を考えて,ルールを複雑にして行えば,これも効果があると見られている.
つぎに,情意の面についていえば,活動意欲が高められ,注意の集中と持続が行われ,大胆さや思いきりのよさなどを要求される遊びがよい.それには,巧技台などの固定遊具,一輪車の荷物運びのような移動遊具を用いた遊びが効果的だと見られている.また手具(とくにボール)を用いた遊び,ゲーム化された遊びもこれに入る.
つぎに,社会性の面についていえば,友だちと仲よく遊び,競争と協力とをうまく使い分け,リーダーシップを発揮することなどが望まれるが,それにはチームやグループで行うゲーム性の高い遊びが効果的で,陣取り形式のもの,リレー,ドッジボール,サッカーごっこ,野球ごっこなどが良いと見られている.


表6遊びにおける行動特性の評価



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